研究課題
本研究の最終的な目的はiPS細胞を用いた舌、咀嚼筋のサルコペニア治療法開発の試みることである。そのためにはまず、iPS細胞が骨格筋に分化する条件を確定する必要があり、本年度はこの実験に取り組んだ。理化学研究所より供与されたマウスiPS細胞をフィーダー細胞上で増殖させた。トリプシンの処理によりiPS細胞を分離し、96穴低付着性培養皿に移動させ胚様体を形成させた。その後、胚様体を分離し、ゼラチンまたはマトリゲル処理した培養皿に移動させ、筋分化培養液(5%馬血清含有ダルベッコ改変イーグル培地)を用いて3、6、12、24日間培養した。培養終了後、免疫組織化学的方法により筋分化マーカーであるMyosin heavy chainの発現および分布を解析した。また、Real-time PCR法により筋分化マーカーであるMyf5、MyoD、Myogenin、muscle creatine kinase (MCK)のmRNA発現量を解析した。筋分化培養液にて培養開始後24日目に筋線維様の細胞が観察された。免疫組織化学的解析の結果、この筋線維様の細胞はMyosin heavy chain 陽性であった。Myf5、MyoD発現量は0日目と比較して12日目、24日目に上昇する傾向が認められたが、統計学的に有意な差はなかった。Myogenin発現量は0日目と比較して12日目、24日目で統計学的に有意な上昇を認めた(p<0.01)。MCK発現量は0日目と比較して24日目で統計学的に有意な上昇を認めた(p<0.01)。以上の結果から、iPS細胞は96穴低付着性培養皿に移動させ胚様体を形成させた後、その胚様体をゼラチンまたはマトリゲル処理した培養皿に移して付着させ、筋分化培養液(5%馬血清含有ダルベッコ改変イーグル培地)を用いて24日間培養することにより、骨格筋細胞へ分化することが確認された。
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Gerodontology
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DOI: 10.1111/ger.12004
J. Dent. Res.
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