研究課題
研究の最終年度として、合金表面に腐食物がある場合とない場合とのES-D3細胞ならびにiPS細胞を用いて比較を行った。前年度までの成果で加速度試験として合金表面に効率的に腐食物を堆積させるために合金表面に均一に傷を付けるとともに希塩酸ならびに希硫酸に1週間浸漬した.溶液はICPで元素を測定した.合金表面を洗浄しオートクレーブ滅菌した。希塩酸浸漬群ではやや表面に黒化が認められた。なお、希硫酸浸漬群では表面に若干の曇りが認められたが黒化は認められなかった。合金表面にES-D3細胞を播種したところやや細胞毒性が認められた。そこで、塩酸ならびに希硫酸に1ヶ月間浸漬した。溶液は同様にICPで元素を測定した。合金表面を十分に洗浄・滅菌した後、希塩酸浸漬群ではかなり表面に黒化が認められた。しかし、希硫酸の浸漬群では表面に曇りが認められたものの一週間浸漬群と同様に黒化は認められなかった。表面研磨のみの合金を対照群として、表面にES-D3細胞から懸滴培養で得たEBsを置いて分化培養を試みた。希塩酸群で対照群の約20%、希硫酸群で対照群の約10%の値であった。また、ES-D3細胞のMTT法での細胞毒性は希塩酸群で対照群の69%、希硫酸群で対照群の54%の値であった。さらに、マウス由来のiPS細胞の細胞分化について調べるためES-D3細胞同様にEBsを作製した。なお、フィーダーにMEF細胞を使用するため、MEF細胞を合金上に播種し、24時間後にiPS細胞で作製したEBsを置いて分化させた。その結果、iPS細胞でも希塩酸群、希硫酸群ともにやや細胞分化率は低下した。なお、iPS細胞の場合にはフィーダー細胞が最初にダメージを受けた可能性もあることが考えられた。結果から合金表面を加速度的に腐食させた場合には、希塩酸群、希硫酸群ともに発生毒性が存在する可能性が高いことが示唆された。
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