口腔内環境での歯科用銀合金や金銀パラジウム合金の腐食生成物がヒトの発生に及ぼす影響は知られていない.組成イオンの銀、銅、スズなどはやや発生毒性が存在する可能性があり、腐食生成物では発生毒性レベルの変動を調べる必要がある.EST法はマウスES細胞と3T3細胞を用いて未知の化学物質によるヒト胎児の催奇形性を予測できる方法で、今回、ES細胞の他にマウス由来のiPS細胞も用いた.結果から、ヒト唾液や人工唾液で浸漬した合金表面で無処理の場合と細胞分化レベルで有意差が認められなかった.しかし合金表面に機械的な傷を付け、さらに塩酸と硫酸に浸漬した場合は組成元素の溶出量も多く、発生毒性の存在も懸念された.
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