本課題は,咀嚼によって生じる生理学的変化を計測・解析することにより,「生体にとって良い咀嚼とは何か?」を明らかにしたいと考えている.これまで我々の行った研究結果から,咀嚼で生じるこれらの生理学的変化は,摂取する食品の味・香りによって大いに影響されること,美味しい食品の咀嚼はストレス抑制効果があることが明らかとなった.本課題の目的は,咀嚼する食品の味・香りとストレス反応との関連性を明らかにすることである. 研究は,1.咀嚼食品の味・香りによって生じる神経系・内分泌系自律神経調節の解析,2.咀嚼食品の味・香りへの順応と咀嚼によって生じる生体の生理学的変化との関連について,3.ストレスを引き起こす咀嚼食品の味・香りの同定,の3項目に分けて行ってきた. 前年度まで,1.および3.について実験を行い,結果をまとめて2本の英語論文を執筆し投稿しているが,どちらも未だ採択には至っていない.また,26年度と27年度に渡り,2.咀嚼食品の味・香りへの順応と咀嚼によって生じる生体の生理学的変化との関連について,を明らかにするための実験を行った.実験は「快情動」または「不快情動」を惹起させる食品の咀嚼運動を、近赤外光脳機能イメージング装置を用いてモニタリングし,同時に心拍数および筋電図を記録し,解析を行った.本研究に関しては,倫理審査委員会の承認を得た後に,実験を行い実験結果の集計を行っている.成果の発表については,28年度の学会発表および論文執筆を予定している.
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