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2013 年度 実施状況報告書

歯肉退縮予知のための歯肉の質的評価法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 25463044
研究機関福岡歯科大学

研究代表者

佐藤 博信  福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00145955)

研究分担者 水町 栄美理  福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (40631700)
松浦 尚志  福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (60330966)
徳富 健太郎  福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (20508981)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード歯肉 / 歯槽粘膜 / 角化 / サイトケラチン / 細胞接着分子
研究概要

歯肉の質的評価法を開発する上で,歯肉上皮組織とその下部組織である結合組織をどう評価するかが重要となってくる.歯肉と歯槽粘膜はその境界部分で劇的な組織変化をとげる.歯肉側では上皮は角化し,結合組織はエラスチンを含まず,リモデリングスピードが速まったコラーゲンを豊富に含む.一方,歯槽粘膜側では上皮は角化せず,結合組織はエラスチンもコラーゲンも豊富に含むが,コラーゲンのリモデリングスピードは遅い.
我々はブタの歯肉と歯槽粘膜を用い,両組織の上皮で認識されるサイトケラチン(CK)と細胞接着分子の分布をintactな組織と上皮細胞のみを培養し,重層化させた培養組織で免疫組織学的に調べ,CKと細胞接着分子の分布に及ぼす結合組織の可能性を追求した.Intactな組織では,それぞれの分子は特徴的な分布を示した.歯肉ではCK5, CK14, plakoglobin, E-cadherin, β cateninとclaudin 4が基底層から表層まで全ての層に分布するのに対し,歯槽粘膜ではそれらの分布が全て基底層に限局した.また,CK17とinvolcrinは歯肉でそれぞれ表層および基底層,表層に分布するのに対し,歯槽粘膜では両分子とも基底層に限局した分布を示した.興味深いことに,歯肉と歯槽粘膜から採取した上皮細胞の重層化した培養組織は両者とも角化し,似通った組織像を示した.上記の分子の分布も両組織において全く同じ分布を示し,CK17とclaudin 4以外の分子はintactな歯肉組織と同じ分布を示し,CK17とclaudin 4は表層に限局した分布を示した.
以上より,歯肉上皮細胞と歯槽粘膜上皮細胞自身は形態的および免疫組織学的に同様の重層化組織を形成することがわかり,歯肉と歯槽粘膜の相反する組織構成に下部の結合組織が少なからず影響する可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歯肉上皮細胞,歯槽粘膜上皮細胞ともにそれ自身では同様の角化上皮を形成することが分かり,両上皮細胞の分化に下部の結合組織あるいは外部の因子の影響が関与する可能性が示唆され,次なるステップである上皮細胞の角化のメカニズムを追求する実験系がほぼ確立できたと考えられるため.

今後の研究の推進方策

上記のin vitroの実験系を応用して,歯肉の角化のメカニズムを追求していく.今回の結果から推測されるメカニズムは,(1)エラスチンが上皮の角化を抑制する可能性,(2)コラーゲンの相違が上皮の角化に関与する可能性,(3)上皮の非可動性が上皮の角化を促す可能性,などが考えられる.それらを一つ一つ検討していく.併せて,ブタの上下顎の歯肉と口蓋粘膜の結合組織中のコラーゲン性状に相違があるか否かをin vivoで分析する予定である.

次年度の研究費の使用計画

次年度以降の研究費を考慮しながら,本年度の研究費内での予備実験を遂行した結果,研究費の若干の余りが生じた.
次年度は,本年度の予備実験を踏まえ,検討する事項が増えるため,若干の余った研究費を加えて,研究費の有効利用ができると考えている.

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公開日: 2015-05-28  

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