研究課題/領域番号 |
25463044
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 博信 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00145955)
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研究分担者 |
水町 栄美理 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (40631700)
松浦 尚志 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (60330966)
徳富 健太郎 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (20508981) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯肉 / 歯槽粘膜 / 角化 / ケラチノサイト / ケラチン |
研究実績の概要 |
現在の口腔粘膜三次元培養モデルは,ケラチノサイト以外に,線維芽細胞などのfeeder cellと結合組織を必要とし,歯肉に類似した細胞シートを作製できる反面,ケラチノサイト,feeder cell,結合組織の3者の相互作用が上皮の角化現象の分子レベルでの解明を困難にする.そこで,口腔粘膜由来ケラチノサイトの単独培養によって,角化重層扁平上皮シートを形成するモデルの作製を試みた. ブタの歯肉および歯槽粘膜から分離したケラチノサイトをCnT-57(CELLnTEC)で4~6代継代培養した後,24穴プレート内のインサート(0.4 µm pore)上に播種し,コンフルエントになるまで培養した.培地をCnT-02-3D(CELLnTEC)に交換し,細胞シートの最上面がair/liquid interfaceとなる条件で,三次元培養を開始した.三次元培養開始1週後と2週後の上皮シートを,ケラチン(K)に対する免疫組織学的分析に用いた.角化上皮に特異的に発現するK1とK10,および非角化上皮に特異的なK4とK13をターゲットとした. 歯肉由来ケラチノサイトの上皮シート(GS)は1週間で重層化し,2週間後では角化層を有する角化重層扁平上皮様の構造となった.意外なことに,歯槽粘膜由来ケラチノサイトの上皮シート(AMS)も,同様の上皮形成プロセスを取った.K1の局在パターンは,GS,AMSともに本来の歯肉での局在パターンと一致していた.しかし,K10の局在はGSで認められたものの,角化したAMSでは認められなかった.K4とK13は角化前(1週間後)のGSとAMSに存在し,角化後(2週間後)でもAMSにおけるK4を例外として,K4とK13の局在が観察された.口腔粘膜のケラチノサイトは結合組織がなくても,ある条件で角化し,そのマーカーとしてケラチンは万全でないことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
角化のメカニズムを検証する実験系としての口腔粘膜三次元培養モデルがほぼ確立できたため.
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今後の研究の推進方策 |
ケラチノサイトに直接作用して上皮の角化・非角化を制御する因子を追及する.歯肉の結合組織の特性を明らかにする目的でブタの上下顎歯肉・口蓋粘膜の結合組織のコラーゲンの性状をアミノ酸分析により検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色のために使用する抗体が高価なため、倹約して使用した結果、若干の余剰金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は対象とする分子を増やした上での免疫染色を必要とする。そのため、余剰金を加えて今年度よりも多くの抗体を購買して、実験を遂行する予定である。
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