間葉系幹細胞(MSCs)は、ケモカインの作用により炎症部位に遊走・集積し、抗炎症作用や組織修復に働く。本研究では歯根膜線維芽細胞(PDL-Fs)とMSCの相互作用を解明することで、歯周炎症部位におけるMSCsの役割を検討した。炎症性サイトカインはPDL-FsにおけるMCP-1の発現を促進した。PDL-Fsと直接共培養されたMSCsはSca-1、CD44の発現が増強されると共に、IL-6の発現抑制に加えIL-10及びTGF-βの発現促進が確認された。すなわち歯周炎症部位に集積したMSCsは、周囲の歯周組織構成細胞との細胞間接触を介した相互作用によって、抗炎症作用が増強されると示唆された。
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