スフィンゴ脂質の代謝産物であるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)が悪性腫瘍、動脈硬化や糖尿病、骨粗鬆症などの病態進行を調節する重要な因子として最近注目を浴びている。S1Pは様々な細胞から分泌され、5つの特異的なGタンパク質共役型受容体を介するシグナル伝達因子として、オートクライン、パラクラインに作用するが、口腔がんにおけるS1Pシグナル伝達については未だ不明な点が多い。本研究では、口腔癌細胞株を用いて、S1Pによる細胞増殖能や細胞遊走能への影響について検討し、さらに細胞株のS1P受容体サブタイプ(S1PR1-5)の発現様式を確認のうえ、そのシグナル伝達経路についていくつかの知見を得た。
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