研究課題/領域番号 |
25463070
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
波田野 典子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70396737)
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研究分担者 |
阿部 雅修 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10392333)
瀬戸 一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30582390)
山本 健一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (90583162)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨再生 |
研究概要 |
歯周炎は日本だけでなく、世界においても罹患率が高い疾患である。歯周炎の発症進行要因は複雑であり、歯周組織は由来の異なる組織から成り立っていることから、炎症などでひとたび破壊されるとその組織の再生は困難である。本研究では、歯周炎による不可逆性骨欠損部の骨再生を目指し、骨形成性低分子化合物による歯槽骨再生を目的とする。今年度は、骨形成性低分子化合物ヘリオキサンチン誘導体(TH)の骨芽細胞分化誘導能および細胞毒性の検証を行っている。まず、マウス頭頂骨由来前骨芽細胞株MC3T3-E1細胞を用い、Real-time RT-PCRによりTH曝露4日目、7日目において骨芽細胞分化の初期の分化マーカーであるalkaline phoshatase(Alp)と後期の分化マーカーであるosteocalcin(Oc)の発現の上昇を認めた。THは水に不溶性なため、有機溶媒のジメチルスルホキシド(DMSO)を用いる必要があるが、より生体適合性を高めるため環状オリゴ糖である(2-Hydroxypropyl)-β-cyclodextrin(CD)に包接させ水に可溶化させることを検討した。THをCDに包接させた溶液に対し、骨芽細胞分化誘導能の変化および細胞毒性について検討している。骨芽細胞分化誘導能に関しては、先に述べた方法と同様にAlpおよびOcで確認を行い、細胞毒性に関してはMTTアッセイを行う予定としている。さらに、THをCDに包接させた溶液を、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)に含有させたゲルを作製する検討を行っている。TH含有ゲルの作用期間およびゲルの最適な濃度の検討をAlp染色、Real-time RT-PCRで行うことを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は学会発表や学会参加により、本研究を遂行するための情報や資料収集および見識を得ることができた。CD、HPCの材料の特性がやや難解であり、多くの選択肢の中からの抽出が必要であったが、情報収集の結果、最適な性質および特性を持つ材料の検討が行えていると思われる。今年度は研究分担者が1名退職したことに伴い、若干研究の遂行が遅くなったが、研究計画書に記載した実験の準備は整い、順次進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究計画書に記載しているとおり、今年度の実験内容であるTHをCDに包接させた溶液の骨芽細胞分化誘導能の変化および細胞毒性の検討を継続する予定である。同様にHPCにTHを含有させたゲルの作用時間およびゲルの最適な濃度の検討を行う予定としている。今年度において使用材料の検討および条件設定が行えたことから、順調に研究の遂行が可能と思われる。また、次年度は動物実験およびマイクロアレイ解析を加えて行く予定としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、研究を遂行するに当たり、CDの包接作用やHPCの特性について、資料および情報収集の必要性があり、まずは学会発表および学会参加によって論文や文献上には書かれていない情報を入手する必要があった。さらに、研究分担者が1名退職したため、若干研究の遂行に遅滞が生じた。 研究計画書に記載しているとおり、今年度の実験内容であるTHをCDに包接させた溶液の骨芽細胞分化誘導能の変化および細胞毒性の検討を継続する。同様にHPCにTHを含有させたゲルの作用時間およびゲルの最適な濃度の検討を行う予定である。また、次年度は動物実験およびマイクロアレイ解析をバイオマトリックス研究所に外注するなどの計上が必要となるため、次年度使用額は十分消費され、順調に研究は遂行できると思われる。
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