研究実績の概要 |
リソソームはエンドソーム、ファゴソーム、オートファゴソームと融合して、それらの小胞の内容物の分解を担当する細胞内小器官である。分解反応の主役はリソソーム内の加水分解酵素であるが、リソソームが他の小胞とする融合する過程やリソソームの細胞内輸送はリソソーム膜に存在するタンパク質によって担われている。Lysosome-associated membrane protein (LAMP)-1/2はリソソーム膜の主要な膜タンパク質であり、タンパク質の大部分はリソソームの内側に存在する。その部分はいずれも二つのドメインがリンカーでつながった構造をとる。理化学研究所との共同研究により、LAMP-1, LAMP-2のドメインの立体構造を決定してPDB登録をおこなった (5GV0, 5GV3)。両者はきわめてよく似たβ-プリズム構造だった。LAMP-1とLAMP-2の単量体の構造は酷似しているが、LAMP-2のみがリソソームの融合過程に密接に関与することが知られている。そこで、その理由を明らかにするために、LAMP-1とLAMP-2の複合体形成の様式を比較した。その結果、LAMP-1では多量体形成(アセンブリ)にあたりN末側のドメインが必要であるのに対して、LAMP-2ではN末側のドメインがアセンブリしやすいことがわかった。この結果をBBRC (2016) 479:489-495に報告した。この結果はLAMP-1とLAMP-2のアセンブリが異なることを初めて示したものであり、LAMP-2のアセンブリがリソソームの融合過程に重要な関与をしていることが示唆された。
|