研究課題
PSD-95は、興奮性シナプス後肥厚部における主な足場タンパクであり、シナプスにおける情報伝達の頻度に応じてNMDA受容体と結合し、情報伝達の効率化に働く。情報伝達が少なければNMDA受容体との結合はなくなりシナプス可塑性への関与が示唆されている。PSD-95の存在は興奮性シナプスの存在を示しており、リズミカルな顎運動の形成に重要であるNMDA受容体が効率的に機能していることを間接的に示している。発育中のラット脳幹におけるPSD-95の経日的分布について、筋紡錘からの感覚情報が入力する三叉神経中脳路核ニューロンの陽性率を解析した。三叉神経中脳路核においてPSD-95陽性ニューロンは生後1日目から認められた。陽性率は3~8%で染色性も弱く、生後23日まで経日的変化は認められなかった。哺乳運動は口輪筋、舌筋が優位で顔面神経や舌下神経でのシナプス形成が三叉神経系よりも早期から認められることと関連している可能性が考えられた。また、哺乳運動は閉口筋と開口筋を比較した場合、開口筋優位であり、三叉神経運動核における開口筋領域のPSD-95陽性率が先行して高い結果とも関連があることが考えられた。哺乳運動から咀嚼運動へと発達する生後13日あたりで閉口筋優位の三叉神経運動核ニューロンのPSD-95陽性率が高くなっていた。行動学的発達と関連したPSD-95の陽性率の経日的変化が認められたが、筋紡錘からの感覚情報伝達についてはPSD-95陽性率の変化は認められなかった。中枢におけるリズミカルな三叉神経系神経活動のCPGはもっとも早期から強陽性を示した傍三叉神経領域であることが考えられた。
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