研究概要 |
角化嚢胞性歯原性腫瘍から線維芽細胞を単離培養し、高Ca刺激によるカルシウム感受性受容体(CaSR)を介したBone morphogenetic protein (BMP)-2の発現について検討を行った。 結果:1)角化嚢胞性歯原性腫瘍由来線維芽細胞では、細胞外Ca濃度依存性にBMP-2 mRNAの発現を増加させた。また、CaSRアゴニストであるネオマイシンもBMP-2 mRNAの発現を増加させた。2)角化嚢胞性歯原性腫瘍由来線維芽細胞では、高Ca刺激やネオマイシンはBMP-2発現を増加させた。さらに、CaSRアゴニストであるR568はBMP-2分泌を増加させ、またCaSRアンタゴニストであるNPS2143は高Ca刺激によるBMP-2分泌を抑制した。3)角化嚢胞性歯原性腫瘍由来線維芽細胞にCaSRに対するsiRNAをイオン導入すると、細胞膜上のCaSR発現は減弱し、高Ca刺激によるBMP-2 mRNA発現も抑制された。4)角化嚢胞性歯原性腫瘍由来線維芽細胞で高Ca刺激を行うと、p38 MAPK, ERK1/2, JNKのリン酸化とNF-kB p65蛋白の細胞質から核内への移行が認められた。また、p38 MAPK, ERK1/2, JNK、NF-kBの各阻害剤によって、高Ca刺激によるBMP-2 mRNA発現が抑制された。 以上より、角化嚢胞性歯原性腫瘍由来線維芽細胞の高Ca刺激では、CaSRを介して38 MAPK, ERK1/2, JNK、NF-kBが活性化され、BMP-2発現を増強させると示唆された。
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