研究課題
・免疫不全マウスの舌に直接、間葉系幹細胞を注入する実験において、注入されたヒト幹細胞が舌筋全体へ遊走、拡散することは確認された。その拡散が他臓器、あるいは末梢にまで遊走しているのかを検討した。まず尻静脈血にて検討したが明らかなヒト細胞の混入は確認されなかった。・舌欠損マウスへの幹細胞注入実験に関しては、歯髄幹細胞と骨髄由来幹細胞との両群で周囲組織(筋組織内)への遊走形態に大きな違いは認められなかった。さらにIGF-1投与による違いを検討したところ、頻度は少ないもののMyoD陽性のヒト由来細胞の存在を確認した。一般的に歯髄幹細胞のほうが分化能が高いと報告されているが、今回のIGF-1投与実験においても両群に違いは認められなかった。両群ともに観察視野領域で分化した細胞の比率は約1~3%程度と低い値であるが、筋組織の再構築の可能性は示唆された。・温度感受性細胞シートを用い幹細胞を3次元培養する試みは、培養自体は可能であった。肉眼的には大きな変化はなかったため組織学的に検討したが、培養のみではやはり変化はなかった。ここにIGF-1を様々な濃度にて投与し培養を行った。筋芽細胞への分化が効率よく起こることを期待したが、単純な投与のみでの変化は認められなかった。さらに動物実験として作製した細胞シートを人工的に舌を一部切除したマウスに移植することを試みたが、縫合あるいは固定が困難であり、手技的な改善や工夫が必要と考える。
すべて 2015
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FASEB J.
巻: 29 ページ: 182-192
10.1096/fj.1530-6860