研究課題/領域番号 |
25463095
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松永 和秀 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (80368323)
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研究分担者 |
西原 一秀 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30253892)
緒方 祐子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (50549912) [辞退]
中村 典史 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (60217875)
岐部 俊郎 鹿児島大学, 歯学部, 助教 (50635480)
手塚 征宏 鹿児島大学, 歯学部, 助教 (50759777)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 口蓋形成術 / ろう孔 / 多血小板血漿 |
研究実績の概要 |
2006年から2011年までの6年間の片側性唇顎口蓋裂における口蓋形成術後のろう孔発生率は43.7%であった。ろう孔の出現は、鼻漏出はもちろん、ろう孔が大きくなると構音障害を引き起こす可能性が高くなる。われわれの関連研究では、ろう孔の形態が円状あるいは楕円状といった大きなものなると側音化構音あるいは口蓋化構音を発症しやすくなることが明らかとなった。これら結果からも、口蓋形成術後に円状・楕円状といった大きなろう孔をつくらない工夫が必要であると考えた。本研究の準備研究として、2012年から2013年の2年間はろう孔発生防止のための取り組みの一環として、口蓋前方の鼻腔粘膜が一層になる部分に対し、両側の鼻腔粘膜を重ね合わせて閉鎖する縫合、すなわち重ね合わせ縫合を取り入れてきた。その結果、ろう孔発生率は26.5%と減少傾向にあり、重ね合わせ縫合はろう孔発生を改善できる方法の一つとして有用であることが示唆された。しかしながら、ろう孔がみられる症例の中には、依然として円状・楕円状といった大きいろう孔を形成した症例がみられたことが課題として残った。そこで、2014年からろう孔が発生しやすい骨の裏打ちのない口蓋前方部を鼻腔粘膜の重ね合わせによる閉鎖縫合(重ね合わせ縫合)を行うと同時に、患者個人の血液を術中に採取し、骨再生および軟組織再生に有用とされる多血小板血漿を作製し、重ね合わせ縫合を行った部位の上に添付し、創傷被覆剤でカバーする方法を、承諾の得られた患者に行い、術後のろう孔発生頻度を評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年から片側性唇顎口蓋裂の口蓋形成術の際、ろう孔が発生しやすい部分を鼻腔粘膜の重ね合わせによる閉鎖縫合を行うと同時に、本研究の課題である多血小板血漿をその上に添付する方法を、承諾の得られた患者に行っており、2016年3月現在12例の患者が累積評価している。現時点での結果では12例中10例にろう孔の出現は認めず、2例にろう孔の出現を認めている。現在までのろう孔発生率は16.6%で、ろう孔を認めた2例は比較的小さなろう孔で、円状および楕円状のろう孔の発生はみられない。
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今後の研究の推進方策 |
現在も多血小板血漿を用いた口蓋形成術症例が引き続き、累積されており、2017年3月までに、およそ25例前後の症例で最終評価ができるのではないかと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
多血小板血漿を作製する遠心分離機は現在使用できているが、老朽化が進み、使用できなくなる可能性が高い。遠心分離機の新規購入と口蓋形成術の手術の際のヘッドライトの故障などで使用できない場合も考慮し、繰越金として計上しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
新規遠心分離機と口蓋形成術の際の新規ヘッドライドを購入する予定である。
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