口蓋裂患者に対する口蓋形成術は、鼻咽腔閉鎖機能の獲得に必要不可欠な治療である。我々の術後の鼻咽腔閉鎖機能の成績は、93%が良好であった。その一方で、口蓋形成術では、口蓋粘膜の後方移動により口蓋前方にろう孔が発生しやすく、2006年から2011年までの片側性唇顎口蓋裂患者の口蓋形成術後のろう孔発生率は43.7%で、その中には大きなろう孔があったことが問題となっていた。そこで、口蓋前方のろう孔の発生を防止する工夫として、口蓋前方に組織再生に有用とされる多血小板血漿を併用する手術を行ってきた。その結果、ろう孔発生率は11.1%に減少し、かつ大きなろう孔は1例もなく、有用な結果が得られた。
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