研究課題
EGFRを標的とした癌細胞特異的導入法の確立,臨床試験を念頭においた非臨床動物実験モデルの確立.これまで,超音波造影ガスを封入したバブルリポソームと超音波を併用することにより, 癌細胞や真菌に効果的に薬剤やプラスミドが導入できた.EGFRを標的とした癌細胞特異的導入法の確立の為に,共同研究先の帝京大学薬学部薬物送達学研究室より提供されたナノバブルリポソームを使用していたが,抗EGFR抗体の結合や安定性の面で問題があり,予定通り実験が進んでいなかった.しかし,同研究室でバブルリポソームより安定性がある新規マイクロバブルが開発され,同バブルを使用した.精製した抗EGFR抗体を新規マイクロバブルの表面に結合させ,抗EGFR抗体結合マイクロバブルを作製した.ヒト歯肉扁平上皮癌細胞Ca9-22細胞において,抗体結合マイクロバブルとコントロールのマイクロバブルを用いて,抗癌剤ブレオマイシンを超音波導入したところ,コントロール群に比べて抗体結合マイクロバブルにおいて明らかな致死活性効果増強を認めた.また,Ca9-22細胞を移植した担がんマウスを作製し,マウスの尾静脈から抗EGFR抗体結合マイクロバブルとブレオマイシンを静注し,腫瘍に超音波を照射することでの薬剤導入を試みた.現在進行中であるが,抗体結合マイクロバブルと超音波照射群で腫瘍の増殖抑制の傾向を認めている.バブル表面に抗EGFR抗体等を付与することにより,より選択的に癌局所へ抗癌物質を集積させることができる.これらのバブルを用いれば,ターゲットとなる癌組織にバブルを集積させ,超音波エネルギーにて,非侵襲的に抗癌剤や遺伝子を導入することができる.この方法は,口腔癌の治療をはじめ,様々な難治性疾患の治療に応用可能である.これまでの研究成果から,より効率よく扁平上皮癌細胞に特異的に作用する方法を検討する.
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Int J Oral Maxillofac Surg
巻: 45 ページ: 194-199
10.1016/j.ijom.2015.10.020