研究課題/領域番号 |
25463101
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
前畑 洋次郎 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (80410009)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | EGCG / DNAメチル化阻害 / HNSCC / BRAK |
研究実績の概要 |
本研究課題では, 口腔扁平上皮癌において重篤な副作用の報告が無く癌抑制遺伝子のDNAメチル化阻害作用をもつエピガロカテキンガレート (EGCG) が,抗腫瘍因子BRAKの遺伝子発現を回復させ腫瘍進展抑制効果を示す分子機構を解明するために,以下に記す計画を立案した。(1) 口腔扁平上皮癌細胞 (HNSCC) における,DNAメチル化によるBRAK発現抑制機構を解明すること (2) HNSCC における,EGCGのBRAK発現回復機構を解明すること (3) in vivo におけるEGCGの腫瘍進展への影響を検討し,さらに (4) EGCGのBRAK発現回復を介した腫瘍進展抑制機構の解明を行う。 本年度までに,抗腫瘍因子であるBRAKの発現がメチル化により抑制されている細胞株を用いて,EGCGのメチル化阻害作用を応用し,BRAKの発現を回復させ,新たな抗悪性腫瘍薬としての応用を目指し,基礎的な検討を行ってきた。しかし,細胞毒性を示さない濃度で,EGCG添加培養を行い経時的に,細胞を回収しBRAKの遺伝子発現回復作用を検討したが,顕著な結果は得られなかった、(1.7倍程度)メチル化阻害剤である,DNAメチルトランスフェラーゼの阻害座である5-azacytidineを添加し培養した際は,濃度依存的なBRAKの遺伝子回復作用,およびin vivo では抗腫瘍作用が確認されていることから,EGCGのDNAメチルトランスフェラーゼ阻害作用は弱く,細胞毒性を示さない濃度(>Ic50)ではBRAKの発現回復に至らないとの結論に達した。 そこで,現在では同様にDNAメチルトランスフェラーゼ阻害作用をもつ天然由来成分であるイソフラボンや,DNAメチルトランスフェラーゼ阻害作用以外の経路でBRAKの発現回復作用を持つ物質の検索および作用の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までに抗腫瘍因子であるBRAKの発現がメチル化により抑制されている細胞株を用いて,EGCGのメチル化阻害作用を応用し,BRAKの発現を回復させ,新たな抗悪性腫瘍薬としての応用を目指し基礎的な検討を行ってきが,細胞毒性作用を示さない濃度(>Ic50)では顕著なBRAKの発現作用は認められなかった。(1.7倍)この結果は,in vivo 実験および臨床レベルでは有用な抗悪性腫瘍薬としての応用の可能性が低いことを示唆している。 現在では同様にDNAメチルトランスフェラーゼ阻害作用をもつ天然由来成分であるイソフラボンや,DNAメチルトランスフェラーゼ阻害作用以外の経路でBRAKの発現回復作用を持つ物質の検索および作用の検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2011年にSteven M. D’Ambrosio らはEGF→MEK→ERK経路を阻害するアボガド由来の脂肪酸である(2S,4S)-2,4-dihydroxyheptadec-16-ynyl acetate を報告している。(Biochemcal and Biophysical Research Commuications 409, 465-469, 2011)EGFシグナルはこれまでの我々の実験結果からHNSCCにおけるBRAKの発現低下の決定的な因子であることを見出している。そこで,平成27年度は(2S,4S)-2,4-dihydroxyheptadec-16-ynyl acetateのBRAKの発現回復作用の検討および抗腫瘍作用の検討を迅速に実行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が当初の計画どおり進行しなかったため,大幅な研究計画のプラン変更を行いました。その結果,当初の予定通りの支出にならませんでした。
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次年度使用額の使用計画 |
実績報告書に記載したとおおりの実験計画を再考しました。本年度はその計画に従って実験を行いそれに伴う支出が見込まれます。
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