研究課題/領域番号 |
25463106
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大廣 洋一 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (40301915)
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研究分担者 |
秋山 廣輔 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (10609100)
進藤 正信 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20162802) [辞退]
鄭 漢忠 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80180066)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腫瘍血管内皮細胞 / がん幹細胞 / 薬剤抵抗性 |
研究実績の概要 |
1)分離後のがん幹細胞(CSC)と腫瘍血管内皮(TEC)との相互作用解析(薬剤抵抗性): CSCとTECとの共培養,およびCSCへのTEC培養上清(TEC-CM)の処理を行い,抗がん剤に対する抵抗性の変化をコントロール群と比較検討した.またTEC特異分泌タンパクbiglycan によるがん細胞のDNA damge responseも解析した.Biglycanによって薬剤耐性は誘導されなかったが,DNA damage responseは惹起され,TEC由来因子により腫瘍細胞の悪性形質が獲得される可能性が示唆された,また,がん幹細胞のドーマンシーが維持されているかどうか,Ki67染色により細胞増殖の有無を解析する. 2)分離後のCSCとTECとの相互作用解析(足場非依存性): CSCとTECとの共培養,およびCSCへのTEC培養上清(TEC-CM)の処理を行い,低血清条件下でspheroid assayをおこないanoikis抵抗性の変化をコントロール群と比較し検討を行った. 3)分離後のCSCとTECとの相互作用解析(未分化性維持): CSCとTECとの共培養共培養,およびCSCへのTEC培養上清(TEC-CM)の処理を行い,CSCがnon-CSCへ分化せず,未分化細胞として維持されるかをコントロール群と比較検討する.解析にはPCR法とフローサイトメーターを用いて,がん幹細胞の幹細胞マーカー(CD133,CD44,SP分画,ALDH活性)の発現を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究では,口腔がん幹細胞と口腔がん血管内皮細胞との相互作用を解析し,口腔がん幹細胞の維持に口腔がん血管内皮細胞が果たす役割を検討し,口腔がん幹細胞のVascular Nicheを標的とした新しいがん治療法の開発の基盤的研究を行うことを目的に下記を検討している. ①口腔がんにおける口腔がん幹細胞(CSC)と腫瘍血管内皮(TEC)の局在の解析.②口腔がんにおけるCSCの薬剤抵抗性,未分化性の維持ならびに抗apoptosis能(anoikisに対する抵抗性)に口腔がん由来TECがどのように関与しているかを証明する.③TEC由来のangiocrine factorの制御ならびにvascular nicheを制御することで,がん幹細胞を効果的に攻撃できる方法を探る. 以上の予定していた計画の大半を実施しており,本年度の研究を円滑に進めることができる状況にあるため.
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今後の研究の推進方策 |
1)新たに採取された臨床材料において,Vascular Niche形成に関与するTEC由来サイトカイン,または接着因子などの解析:引き続き薬剤抵抗性,足場非依存性,未分化性維持に対するCSCとTECとの相互作用の検討:免疫染色により, CD24, CD133, ALDHなどのCSCマーカー陽性細胞とLOX, Biglycan , ALDHなどTECにこれまで高く発現していることがわかっているマーカーとの2重染色を行い,がん幹細胞とTECとの位置関係を解析する.また,がん幹細胞ニッチと血管の成熟度との関連をα-SMA染色などにより周皮細胞の,また,フィブリン染色により血管の漏出性の有無により検討する.両者の位置関係に加え,周囲のhypoxiaをピモニダゾール染色により,ROSの蓄積の程度をDHE染色により解析し微小環境の違いとの関連についても検証する. 2)Vascular Niche形成に関与するTEC由来サイトカイン,または接着因子などの解析ならびに分子メカニズムの解析:腫瘍血管内皮マーカーのうち,分泌タンパクや接着分子に関してin vitroにおいて,それら分子のsiRNAによるノックダウンを行い,がん幹細胞との相互作用の変化を接着性や走化性などにより検討する.また共培養実験においては,がん細胞とTECをそれぞれRFP, YFPと異なる蛍光を発現させ,細胞を区別して可視化できるような系を立ち上げる.
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