研究課題/領域番号 |
25463107
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森川 秀広 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (60302155)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 角化病変 / 超音波画像 / ナノ・マイクロバブル / 画像診断 / 腫瘍血管 / 血管構築 / 超音波造影剤 |
研究概要 |
本研究の目的は、ナノ・マイクロバブルと高周波超音波を用いた画像診断システムを用いて、口腔内角化性病変と癌との識別診断を非侵襲的にリアルタイムで行う新たな診断システムを開発することである。これまで実験腫瘍の表在性癌の血管を高周波超音波画像解析装置で解析した結果、腫瘍血管がどの様な形状でどの程度の内径の血管を描出しているかが不明で、描出された血管が腫瘍に特異的な血管かどうかの確認は困難であった。この問題を解決するために、ナノ・マイクロバブルと超音波を用いた血管構築画像を微小血管の三次元画像の構築が可能な造影マイクロCT画像および病理組織学的解析により検証することが必要であると考えられた。しかし、このような画像の検証システムはこれまで確立されておらず、本研究において、微小血管構築画像の検証システムを検討することにした。この検証システムを開発するための評価実験には、皮膚直下に血管が走行し、血管の形状が一定しており、解析場所が特定し易く、精度評価実験に適している臓器としてマウス尻尾を用いた。これまでの超音波画像中の造影剤の検出手法としては、画像の差分を用いる手法が提案されている。この手法では、造影剤が流れているフレームと造影剤が消滅した後のフレームの間の差を調べることで造影剤の検出を行っている。そのため、フレーム間で位置ずれや形状変化が生じると、造影剤の検出精度を大きく低下させてしまう。本研究では、造影剤が流れることで時間方向に輝度値が大きく変動することを利用して、血管を流れる造影剤を精確に検出する方法を検討した。その結果、撮影対象であるマウス尻尾の微小血管の位置ずれや形状変化の影響を抑え、マイクロCT画像に近い精度で微小血管内を流れる造影剤を検出することができた。今後、この造影高周波超音波画像解析システムを用いて表在性腫瘍に特異的な血管構造を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、口腔粘膜の表在性腫瘍モデルの開発を目的にマウス背部皮下に接種した腫瘍細胞の経時的変化を調べ、固形化する前の状態の皮下腫瘍を口腔粘膜の表在性腫瘍モデルとすることにし、ナノ・マイクロバブルと超音波を用いた血管構築法を利用し、マウス背部皮下腫瘍の血管密度を経時的に調べ、この結果を病理組織学的解析結果と比較することで、血管密度の変化が診断の重要な因子になることを明らかにしようとした。しかし、実際に研究を進めてみると、腫瘍血管の描出は可能であるが、この血管がどの様な形状でどの程度の内径の血管を描出しているかが不明で、描出された血管が、腫瘍に特異的な血管かどうかの確認は困難であることが明らかとなった。この問題を解決する方法としては、ナノ・マイクロバブルと超音波を用いた血管構築画像を微小血管の三次元画像の構築が可能な造影マイクロCT画像および病理組織学的解析により検証することが必要であると考えられた。しかし、このような画像の検証システムはこれまで確立されておらず、この検証システムがなければ、今後の研究に支障を来すことになるので、本研究において、微小血管構築画像の検証システムを検討することにした。この検証システムを開発するための評価実験には、皮膚直下に血管が走行し、血管の形状が一定しており、解析場所が特定し易く、精度評価実験に適している臓器としてマウス尻尾を用いた。本年度において、新たな画像処理システムを用いることにより、微小血管構築画像の検証が可能になった。この研究成果は今後の本研究の推進に大いに寄与するものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
高周波超音波画像は、表在性癌の腫瘍血管の性状を把握する上で、非常に有用を考えられるが、このような研究手法は、これまで確立されておらず、解析結果を検証するシステムの構築が重要課題であった。今度、これまで開発した画像解析システムを用いて、表在性癌の微小腫瘍血管の性状を捉えていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究計画で予定していた旅費は使用せず物品費として使用した。その結果、物品費に8049円の残額が生じた。 平成25年度の残額の8049円は、消耗品の購入に使用する予定である。
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