研究課題/領域番号 |
25463108
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10242439)
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研究分担者 |
星名 秀行 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30173587)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / マイクロアレイ / 遺伝子発現解析 / 遠隔転移 |
研究実績の概要 |
【検体収集およびRNAの精製】現在保有するRNA検体に加えて、新たな口腔扁平上皮癌(OSCC)の切除検体の収集を進めた。それらすべての検体の臨床経過を検討し、マイクロアレイの分析およびPCR解析に使用する症例を抽出した。それらのtotalRNAの抽出を行った。 【マイクロアレイ網羅的遺伝子発現解析の検体の選定】保有する全症例について、臨床経過のデータを集積した。臨床経過を基に、遠隔転移をきたした9症例とコントロールとして4つ以上の頚部リンパ節転移をきたした(遠隔転移を結果しなかった)13症例を予備的に選定した。これらのRNA検体について、遺伝子の完全性と濃度についてクオリティチェックを行った(キャピラリー電気泳動法)。その結果、遠隔転移症例6症例、コントロール8症例が量質ともに分析可能なクオリティーであることが確認された。(遠隔転移3症例およびコントロール5症例が濃度不足もしくは遺伝子分解の進行のため除外された。) 【マイクロアレイ解析の実施】Agilent Expression Array : SurePrint G3 Human GE 8x60K Microarray 蛍光標識方法:1色法 テスト群=遠隔転移陽性 口腔扁平上皮癌組織 6検体 コントロール群 =遠隔転移陰性 口腔扁平上皮癌組織 8検体 【前年度までに行ったマイクロアレイ解析のデータとの集積】前年度までに実施した解析で得られた遠隔転移5症例とコントロール5症例のマイクロアレイデータと平成26年度に実施したマイクロアレイ解析の全データを集積して、最終的に遠隔転移11症例、コントロール13症例からなる基礎データを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では局所再発なしでリンパ節転移とともに遠隔転移をきたした10症例とリンパ節転移のみを生じた10症例をマイクロアレイで発現解析し、遠隔転移に関連した発現様相を捕捉する予定とした。平成25年度後半から平成26年初めにかけては遠隔転移5症例とリンパ節転移多発のみのコントロール症例5例の分析を実施した。それに続き、平成26年度後半に遠隔転移6症例とリンパ節転移多発のみのコントロール症例8例の分析を追加実施し、総計で遠隔転移11症例とコントロール13症例の網羅的遺伝子発現解析データを集積した。 症例数については、当初の計画より多くの症例を解析することを目標として、期間中の症例の集積を継続し、結果として遠隔転移症例は13症例を収集したが、遺伝子のクオリティー不良のため、当初の予定症例数を満たしているものの最終的には11症例の解析にとぼまった。コントロール症例については最終的に13症例の解析を実施しており、症例数の点では十分な達成度に達していると考えている。 達成度を【やや遅れている】としたことについては、当初では研究期間の3年目は論文執筆の期間に主にあてる予定であったが、現状ではデータマイニングを開始している段階であり、研究の進行状況そしては若干の遅れを生じており、そのように判定した。
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今後の研究の推進方策 |
遠隔転移11症例とコントロール13症例の網羅的遺伝子発現解析データについて、キーワード解析、パスウエイ解析、群間比較解析(t-test)を適宜実施しデータマイニングを進める。有意性が示唆される遺伝子については、定量的PCRを行ってバリデーションを実施しる。 結果を検討しつつ論文投稿の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の最終月である3月に委託解析を完了し、支払い請求をうけており、支払いは平成27年4月に完了済みである。したがって、形式上平成27年への繰り越しとなった1,407,121円については、平成27年4月初旬に80%強を使用済みとなっている。
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次年度使用額の使用計画 |
残額の26万円程度については、平成27年度予定の補助と合わせて、特殊解析の委託費用および実験試薬の費用として支出を予定している。
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