活性型VD3及びED-71は、DF6Fを用いた無血清培養系で、濃度依存的にNA、UE及びA431細胞の増殖を抑制した。ED-71のIC50は活性型VD3の約1/100であった。UE、NA及びA431細胞におけるHBp17/FGFBP-1遺伝子の発現はED-71濃度依存的に抑制され、経時的にはED-71処理12時間後に最も強く抑制された。レポーターアッセイにおいて、HBp17/FGFBP-1遺伝子プロモーター配列を遺伝子導入したNA細胞とA431細胞では、ED-71によりレポーター活性が約50%低下した。また、FGF-2、VDR、p65及びp50の発現は、ED-71により影響を受けなかったが、IκBαの発現は有意に増大した。一方、siVDR導入細胞では、ED-71によるIκBα遺伝子の発現誘導及びHBp17/FGFBP-1遺伝子の発現抑制は認められなかった。DNAマイクロアレイ解析の結果、ED-71はその主たる代謝酵素であるCYP24A1の遺伝子発現を強く誘導し、さらにSerpin B1遺伝子の発現を約8倍誘導した。NA及びA431細胞におけるSerpin B1遺伝子の発現は、ED-71により有意に増大した。 ヌードマウス移植A431細胞由来腫瘍の増殖は、ED-71-2 (0.5μg/kg) 群で有意に抑制された。また、同群ではHBp17/FGFBP-1及びFGF-2遺伝子・蛋白の発現は低下し、さらに、CD31陽性血管密度及びKi67陽性増殖細胞数も有意に低下した。
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