研究課題/領域番号 |
25463112
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤山 理恵 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10274664)
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研究分担者 |
岡田 幸雄 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (60136687)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | がん化学療法 / 味覚障害 / 味覚嗜好性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は基礎及び臨床の両面からの研究により、がん化学療法による味覚障害の発現機序を解明し、合理的な対策の端緒をつかむことを最終目的としている。 基礎的研究:ラットを用いた動物実験において、抗がん剤「タキソール」の味覚への影響をラットの嗜好性の高い甘味(ショ糖)を用いて2ビン法にて検討した。「タキソール」をラット腹腔内へ投与することにより味覚への影響を検討したところ、投与後2-3日から抗がん剤による甘味嗜好性の変化が出現し、有意に嗜好性の低下が観察された。しかし投与中止後数日でその回復が見られた。塩味についても検討したところ、甘味よりも嗜好性の影響は小さかった。 臨床研究:昨年度は長崎大学病院口腔顎顔面外科の患者を対象に研究を検討したが、該当する患者がいないため、本年度より血液内科および第一外科・第二外科の協力を得て臨床研究を行うこととした。長崎大学病院血液内科との共同研究により、R-CHOP療法を用いて治療を行っている患者を対象に味覚の変化について検討している。また第一外科・第二外科との共同研究によりFEC100療法を用いて治療を行っている患者を対象に味覚の変化について検討している。現在データ採取を継続的に行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は基礎および臨床の両面からの研究を行う計画である。 基礎的研究:動物(ラット)による実験から抗がん剤「タキソール」による味覚への影響に関する研究は順調に進展しており、データを積み重ねている。 臨床研究:長崎大学病院においては昨年度口腔顎顔面外科の患者対象では該当者がなく問題があった。そこで倫理委員会へ変更申請を行い 血液内科・第一外科・第二外科の協力を得て、それぞれの患者を対象として臨床研究を進めている。今までのところ、血液内科にてR-CHOP療法による治療を行っている患者6名、第一外科・第二外科にてFEC100療法による治療を行っている患者9名(ただし転院等で中断した患者も含めて)についてレジメンのコースごとでの継続的な味覚検査を行い、データを収集している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も前年度同様、基礎的研究と臨床研究を並行して行う予定である。 基礎的研究に関して 今後は抗がん剤(植物アルカロイド)「タキソール」による塩味の嗜好性変化について得られたデータを詳細に分析するとともに、他の味物質についても検討する。また抗がん剤(代謝拮抗剤)「5FU」の味覚への影響についても「タキソール」同様に行う予定である。さらにそれぞれの抗がん剤における味覚の変化を分析することにより、免疫組織学的分析方法を検討し、組織学的変化を詳細に分析する予定である。 臨床研究に関して 対象患者変更に伴い、レジメン「R-CHOP療法」と「FEC100療法」を用いた化学療法患者を対象としてレジメンのコースごとの変化を含めてデータ採取を継続的に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎的研究のラットを用いた実験において毎日データ採集を行わなければならず、国際学会等への参加を断念したことと、臨床研究において協力患者の確保が思うように進まなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度も基礎的研究を遂行するにあたり、毎日の測定が必要のため学会、特に国際学会への参加は困難と思われる。臨床実験および基礎的実験の物品費として使用する予定である。
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