研究課題
本年度の実績としましては、これまでの研究成果を学術論文としてClinical Cancer Research(IF:8.2)に発表することができたことが、一番に挙げられます。本科研費により研究することができましたことを、深く感謝しております。本研究は私どもだけではなく、東京大学医科学研究所および熊本大学大学院生命科学研究部免疫識別学講座との緊密な共同研究の成果であります。この業績に引き続き、さらに3本ほどの論文が我々と免疫識別学講座から論文がでております。その概要としましては、治療法がないと宣告されと宣告された症例を対象にペプチドワクチン療法を施行し、その安全性と忍容性、ペプチド特異的CTLの誘導、臨床的抗腫瘍効果、OS、PFSなどを検討しました。その結果、grade II以上の有害事象は生じておらず本療法の安全性と忍容性が確認されました。ELISPOT assayを用いた免疫解析の結果、LY6K、CDCA1およびIMP3に特異的CTLはそれぞれ85.7%、64.3%、42.9%の頭頸部扁平上皮癌患者の末梢血単核球より誘導することができました。さらに、Best Supportive Careを行った患者群とわれわれのワクチン投与を行った患者群においてOSを比較してみたところ、ワクチン投与を行った患者群のほうが有意にOSの延長を認めました。さらに、2あるいは3種類のペプチドに対してキラーT細胞が誘導できた患者群と1種類のペプチドに対してのみしかキラーT細胞が誘導された患者群、あるいはどのペプチドに対してもキラーT細胞が誘導できなかった患者群におけるOSを比較したところ、前群の方が有意に生存期間が長いことが判明しました。本研究の結果、治療法がないと言われだた死を迎えるだけであった頭頸部癌扁平上皮癌患者に対する生きる光明が見いだせる可能性が示唆されました。
2: おおむね順調に進展している
今回の研究において、これまでの臨床研究結果を科学雑誌に発表する、というところが大きな目的の一つでありました。われわれの臨床研究はまだまだこれから継続していくのですが、その中間点として論文発表が重要なpointになっていることは言うまでもありません。今回科学雑誌に掲載されたことにより、われわれの研究の方向性は妥当であるということを確認することが出来たと考えます。今回の論文掲載とういう結果を糧に、チーム一丸となって今後も臨床研究を推進していく所存です。われわれの研究は個人ではなくチームプレイですので、今後の臨床研究のモチベーションを皆が得ることができた、という点において研究目的はおおむね順調に進展している、今後も進展していくことであろう、と考えます。
今回、頭頸部扁平上皮癌患者37症例に関する結果報告を行いClinical Cancer Researchに掲載され、一定の評価を受けることができた。今後の研究推進方策としましては、①これまでと同様に、治療法がない、と宣告された頭頸部扁平上皮癌患者に対してペプチドワクチン療法を施行していく②そもそもペプチドワクチン療法は副作用がほどんどありません。また他療法との併用も可能である、と言われております。したがって、分子標的薬との併用療法を検討していく。③扁平上皮癌だけでなく、唾液腺癌や間葉系の癌(肉腫など)に対しても本療法の有効性を研究していく、などを計画しております。
購入予定であった物品の購入ができなかったため、1,657円分の残が生じました。次年度、物品費として使用する予定です。
物品費として使用する予定です。
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