研究課題/領域番号 |
25463115
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 晃亘 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10305237)
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研究分担者 |
小林 淳一 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80404739)
佐々木 敬則 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50548732)
藤野 準己 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60620945)
道振 義貴 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00457722)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | がんペプチワクチン / がん抗原 / 口腔がん / サバイビン / がん免疫 |
研究概要 |
口腔がんに対するがんプチドワクチン療法の臨床試験ならびに新規がん抗原による口腔がんペプチドワクチン創薬化に向けた基礎的研究を推進中である。まず、IFA(不完全フロイントアジュバント)とIFN(interferon)-αを併用したサバイビン遺伝子産物由来ペプチドの第I相臨床試験は予定症例数10例中6例が終了している。臨床効果はSD 3例,PD 3例で、腫瘍マーカー(SCC抗原値)は2例で低下がみられた。ワクチン投与後のテトラマー陽性CTL(cytotoxic T lymphocyte)増加は6例全例に認められた。さらに、免疫応答増強剤IFN-αの至適投与量を検討するためにIFN-αを減量した臨床試験は2例が登録となった。現在のところ重篤な有害事象は発生していない。 口腔がんにおける新規がん抗原同定と臨床応用に向けての研究では、口腔扁平上皮癌細胞株からALDEFLUOR assayによってがん幹細胞(ALDH1陽性細胞)を分離した。ALDH1陽性細胞は、がん幹細胞関連遺伝子を高発現し、免疫不全動物に高い造腫瘍能を示した。マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子解析によりALDH1陽性細胞に高発現するSPRR1Bを同定し、SPRR1BのノックダウンによりALDH1陽性細胞の割合が減少するとともに細胞増殖能が抑制されることから、SPRR1Bが口腔扁平上皮癌のがん幹細胞特異抗原である可能性が示唆された。これらの成果は治療抵抗性を示す口腔がんの再発や転移の機序を解明し、がん幹細胞抗原を標的分子としたワクチン療法を開発する上で重要な新知見と考えられる。現在、その他のがん幹細胞抗原の候補遺伝子についても探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IFA(不完全フロイントアジュバント)とIFN(interferon)-αを併用したサバイビン遺伝子産物由来ペプチドの第I相臨床試験は、予定症例数10例のうち6例が終了した。免疫応答増強剤IFN-αの至適投与量を検討するためにIFN-αを減量した臨床試験を新たに開始している。現在までに臨床試験に参加した2例に重篤な有害事象は発生しなかったが、いずれも患者側の申し出により中断となり完遂せず、目標とする予定症例数を達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
IFA(不完全フロイントアジュバント)とIFN(interferon)-αを併用したサバイビン遺伝子産物由来ペプチドの第I相臨床試験は、IFNα;150万IU投与群3例、PEG-IFNα-2a;90ug投与群3例による中間解析で、高い安全性と有効性が確認された。次群ではIFN-α投与量を現投与量の半量に設定し、IFNα;75万IU投与群2例,PEG-IFNα-2a;45ug投与群2例を予定し、その安全性と有効性の評価を行う予定である。口腔がんの新規がん抗原同定と臨床応用に向けての研究では、複数の口腔扁平上皮癌細胞株からがん幹細胞を分離し、がん幹細胞抗原の候補遺伝子の同定、機能解析を行う予定である。
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