研究課題
口腔がんに対するがんペプチドワクチン療法の臨床的研究では、IFA (incomplete Freund's adjuvant)とIFN (interferon)-α併用のサバイビンペプチドによる第Ⅰ相臨床試験が7例完遂した。臨床効果はSD;3例、PR;4例で、2例で腫瘍マーカー低下がみられた。テトラマー陽性CTL (cytotoxic T lymphocyte)増加は7例、DTH (delayed-type hypersensitivity)反応は1例に認められた。ペプチド単剤と比較して高い効果が得られ、かつ重篤な有害事象は発生しなかった。基礎的研究では、下顎歯肉がん細胞株からALDEFLUOR assayによりがん幹細胞関連遺伝子を高発現し、免疫不全動物に高い造腫瘍能を示すALDH1陽性細胞を分離した。cDNAマイクロアレイ法を用いた網羅的遺伝子解析によりALDH1陽性細胞に高発現するSPRR1B (small proline-rich protein 1B)を同定した。SPRR1B過剰発現がん細胞株では細胞増殖能の亢進が観察され、siRNA にてSPRR1Bをノックダウンしたがん細胞株では細胞増殖能の抑制がみられた。がん幹細胞はSPRR1Bが過剰発現することによりがん抑制遺伝子である RASSF4発現を抑制し、RAS-MAPKシグナルを亢進することにより細胞増殖能が亢進していることが示唆された。一方で、頬粘膜がん細胞株を樹立し、同患者のPBMCs (peripheral blood mononuclear cells)からCD8+T細胞を分離して、自家がんとCTLのペアを確立した。Limiting DilutionによりCTLクローンを抽出し細胞傷害活性を測定したところ、自家がん特異的HLA-A24拘束性CTLが高率に誘導されたことから、CTLの認識する抗原ペプチドの分離・同定により新たなペプチドワクチン創薬化が可能となる。
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