研究課題
口腔の多発癌や重複癌は増加しているがその原因として患者の高齢化、口腔癌治癒率の向上、食生活や環境因子での多種の発癌物質への曝露などが挙げられる。本研究では、単剤で抗腫瘍効果、温熱効果を発揮する磁性体を腫瘍局所の選択的温熱療法のみならず直接全身の癌に対しても免疫賦活によって転移癌発生を制御する新たな温熱免疫化学療法の開発を目的とし研究を行った。研究実績として動物実験での投与条件を検討するために、温熱効果によるインキュベーターを用いて本磁性体を42度に加温し細胞に発現するHSP70/HSP90をウェスタンブロッティングで調べたところ、免疫活性は温熱後直後から発現していることが分かった。以上より細胞実験において温熱による免疫活性を明らかにした。動物実験では、ヒト由来扁平上皮癌細胞株をヌードマウスの左右の大腿部2部位に移植後、片部位のみ腫瘍局所に新規磁性体を投与し交流磁場にて投与した片部位に温熱療法を行った。温熱効果の免疫活性での抗腫瘍効果を温熱していない部位で評価した。動物実験により、左右ともに腫瘍の縮小傾向を認めた。以上の結果より腫瘍転移モデルにおいて、温熱効果で免疫活性を示し抗腫瘍効果を発揮されることが示唆された。今後、新規磁性抗癌剤を用いた抗腫瘍効果、温熱効果、免疫効果の3つを組み合わせることによって、新たな癌治療法を確立することが必要であるが、将来的に臨床応用を目指すためさらにN数を増やし研究を継続する予定である。
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Sci Rep.
巻: 22 ページ: -
10.1038/srep24629.