研究課題
癌患者においては癌微小環境において免疫抑制状態にあり全身状態にも反映されている。この免疫抑制状態が治療効果の減弱や患者の予後不良の原因となっている。我々は、根治切除可能な口腔扁平上皮癌患者50例において血清IL-8高値患者では癌局所のIL-8発現も高く、さらに抗腫瘍免疫抑制に働くM2マクロファージの癌局所への高度浸潤も認められ、予後不良(無再発生存期間の短縮)である事を見出した。in vitro実験にて、IL-8がCD163およびCD206陽性M2マクロファージを誘導する事も確認した(PlosOne, 2014)。IL-8がマクロファージに作用しM2分画への分化に関与する事を示した報告は世界で初めてである。IL-8は血管新生因子および好中球遊走因子としても知られている。我々はIL-8高値患者で癌局所における血管新生の増強とCD66b陽性顆粒球の高度浸潤も確認した。in vitro実験にてIL-8がCD66b高発現顆粒球を誘導する事も確認した。CD66b高発現顆粒球は、強い抗腫瘍免疫抑制作用を有するgranulocytic MDSCである可能性が示唆されている。IL-8は様々なメカニズムを介して抗腫瘍免疫抑制作用を発現し予後不良に密接に関与している事が強く示唆された。IL-8を阻害することで癌治療効果を得られる可能性も示唆され新たな治療標的となる可能性も示された。さらなる検討から血清IL-6高値も口腔癌患者の予後不良と強い相関関係がある事が明らかとなった。IL-6は特に頸部リンパ節転移と密接に関与していたin vitro実験から、IL-6は腫瘍組織中の間葉系細胞に作用してVEGF等の予後不良因子(免疫抑制ならびに血管新生に働く)を誘導する事により、口腔扁平上皮癌細胞の浸潤・転移を促進する可能性が強く示唆された。本研究結果より血清IL-6ならびにIL-8は癌微小環境を反映し予後因子となるだけでなく、新たな治療標的ともなりうる可能性が強く示唆され、より有効な新規癌治療法の開発に大きく寄与すると考えられる
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Immunotherapy
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