研究課題/領域番号 |
25463121
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
渡辺 正人 東京医科大学, 医学部, 講師 (40349460)
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研究分担者 |
續 雅子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (40385092)
里見 貴史 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70276921)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 上皮間葉移行 / 組織学的悪性度 / 抗癌剤感受性 |
研究実績の概要 |
抗癌剤感受性に影響を与えるバイオマーカーの検討に際し、腫瘍組織に注目しその病理組織学的変化特に上皮間葉移行現象と薬剤抵抗性との関連性を検討した。まず、上皮間葉移行を示すマーカーであるvimentin、snail、E-cadherinを対象に免疫組織化学的染色を行いその発現と上皮間葉移行部の組織学的悪性度(角分化度、核異形、浸潤様式)との関連を評価した結果、悪性度が強い症例程マーカーの発現が認められた。発現頻度はvimentinが61.5%、snailが81.6%、E-cadherinが53.8%であった。 次に術前化学療法を施行した症例を対象にそのマーカー発現と奏効性について検討した。特に生検組織を対象に非奏効例ではマーカー発現が目立った。切除組織では明らかなマーカー発現と奏効性の関連性は認められなかった。また、生検組織と切除組織での悪性度の有意な変化はなかった。 術前放射線治療症例についても同様の検討を加えた。生検組織中のマーカー発現と奏効性に関連性はなかった。生検組織と切除組織での悪性度の変化では後者で悪性度が有意に高値を示した。しかし切除組織でのマーカー発現との関連はなかった。 以上より、上皮間葉移行を示す癌細胞では抗癌剤感受性は低下した。また、この現象を示すマーカーの発現プロファイルに変化が認められたことから、上皮系から間葉系へ移行を表現していると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最初の2年間は同法人内である他病院へ異動中であった為、時間的および環境的要因で計画通りに進まなかった。同時に研究材料として用いられる適切な腫瘍組織の採取が出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初よりフッ化ピリミジン系抗癌剤投与下における薬剤感受性マーカーの検討を目的としており、分子レベルでの解析は計画通りに施行する予定である。特に、薬剤代謝酵素であるマーカーの腫瘍組織中での分子レベルの発現を検討し、今後の研究発展の足がかりにしたい。口腔癌の治療戦略の変遷で、使用される薬剤の変化に対応するため別の視点からバイオマーカーの探求が必要とされる。分子標的薬など含めた包括的な感受性マーカーの視点として腫瘍の特性(上皮間葉移行あるいは腫瘍幹細胞の存在)に着目しそれに係るマーカーの探求を分子レベルまで掘り下げで行く計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験研究の遅延による。
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次年度使用額の使用計画 |
論文作成および投稿に関連する費用、学会旅費、抗体、プローブ等の試料に使用。
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