研究課題
平成26年度の研究結果は以下の通りであった。抗癌薬剤cisplatin、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 suberoylanilide hydroxamicacid (SAHA)に対する口腔扁平上皮癌細胞株の抵抗性について検討した。これらの効果を検討した処、HSC-2とSASは細胞死が誘導され、薬剤感受性を示した。一方、SQUU-B株は抵抗性を呈した。そこで、癌細胞の薬剤抵抗性に関与が注目され、細胞内ストレスに関係するGlucose-related Protein 78 (GRP78)が介する細胞死誘導の解明を試みた。まず、未処理細胞内のGRP78発現量と細胞内局在部位をwesternblotting法や免疫蛍光細胞染色法を用いて各々検索した。検索した細胞株によってGRP78発現量は異なっていた。予想とは反し、検索した細胞株の中でSQUU-B株が最もGRP78発現量は低かった。細胞内局在部位はいずれの細胞株においても細胞質内にびまん性の陽性像を認めた。また、共焦点レーザー顕微鏡にて核内に局在するGRP78も確認した。cisplatin、SAHA処理による癌細胞株の細胞死誘導における関連因子発現変化とGRP78発現量変化について検討した。また、口腔扁平上皮癌症例における炎症性サイトカインであるIL-6とリン酸化STAT3の発現を検索し、それらの発現と臨床所見他を検討した。IL-6高発現症例は、全症例にてリン酸化STAT3発現を認め、リンパ節転移、術前化学放射線療法抵抗性や予後不良等との相関性を示した。口腔扁平上皮癌症例の治療抵抗性にはSTAT3発現が関与していることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
研究課題に関連する研究成果一部を英文誌上にて発表した。
研究計画や予算に関しては申請書に準じて進める。また、これまでに得られた研究結果を踏まえ、詳細な検索を要すると判断した項目について追究する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)
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