研究課題
平成27年度に展開した実験で成果の得られた結果は以下の通りである。①STAT3は、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞株に対して様々な扁平上皮分化マーカーの発現に影響を及ぼした。種々のサイトケラチンは、発現に影響を受けたマーカーに含まれる。また、そのサイトケラチンの発現制御には、Hedgehogシグナル経路が関与しているという。われわれはこのHedgehogシグナル経路に注目し、口腔扁平上皮癌の癌形質に対するHedgehogシグナル経路の関与を検討した。また、そのサイトケラチンの癌形質への影響を検討した。Hedgehogシグナル経路に対するある阻害薬を添加すると、OSCC細胞株の細胞残存数が非添加群と比較して阻害薬濃度依存的に減少していた。Annexin-V染色、TUNEL 法やDNA ladderの確認により、Hedgehogシグナル経路に対するある阻害薬によるアポトーシスが誘導され、OSCCにおけるHedgehogシグナル経路阻害が新たな癌の標的となる可能性が示唆された。また、種発現に影響を受けたサイトケラチンの発現調節を行うと、細胞増殖や扁平上皮分化マーカーである他のサイトケラチンの発現にも影響し、癌形質への関与が示唆された。②口腔扁平上皮癌の骨への浸潤破壊はしばしば認められ、治療法や手術範囲や予後を左右する。骨粗鬆症治療の第一選択薬であるビスフォスフォネート(BP)は、癌による骨量減少に対する有効な治療法としても注目されている。ところが、抜歯などの外科的侵襲を契機に顎骨壊死を引き起こす、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死が知られ、原因としてBPによる破骨細胞の分化抑制が考えられる。そこで、BPによる破骨細胞の分化抑制とBPの効果調節を検討したところ、in vitroおよびin vivo実験にて薬剤添加にてBPによる破骨細胞の分化抑制の回避する可能性が示唆された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
J Dent Res.
巻: 94 ページ: 594-601
Int J Mol Med.
巻: 35 ページ: 1169-1178
10.3892/ijmm.2015.2118.
Oncol Rep.
巻: 33 ページ: 2161-2168
10.3892/or.2015.3838.
Oral Dis.
巻: 21 ページ: 257-262
10.1111/odi.12259.