研究課題/領域番号 |
25463128
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小長谷 光 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20251548)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | DNIC / CPM / Pain Modulation / 下降性抑制系 |
研究概要 |
ある部位の侵害刺激による痛み感覚が異所性の侵害刺激によって抑制される現象をDiffuse Noxious Inhibitory Control(DNIC)、ヒトではConditioned Pain Modulation(CPM)という。本年度は動物実験により既に確認したフェニレフリン微量投与にによりDNIC現象が抑制されるという結果に基づき、ヒトでフェニレフリン全身投与した際にCPM現象がどのように変調されるかを検索した。その結果、1)フェニレフリンはCPMを抑制し、2)α1作動薬拮抗薬であるフェントラミンでこの抑制現象が拮抗されることを見出した。従ってヒトにおいて α1受容体がCPM現象に大きく関与していることが示唆された。 また同時に顎関節症などの慢性疼痛患者に対するCPM効果について検索を行い、三叉神経領域の侵害刺激はCPM効果が減弱されるのに対して、他の部位ではその効果の減弱が認められないということを明らかにし、これについて2013 8th Congress of the European Federation of IASP Chapters (EFIC)で発表をおこなった。 これらのことからCPM,DNIC現象には下降性抑制系に関与するカテーコールアミンニューロンが深く関わっているいることが示唆され、今後この点について慢性疼痛患者に対する調査の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の主題であるDNIC,CPM現象に下降性抑制系に関連するカテコールアミンニューロンの貢献度が高いことすでに明らかとなり、脳内カテコールアミン動態が変調していると考えられる慢性疼痛患者に対する研究へと発展しつつあるからであり、本研究を発展させるための課題が見いだせた点が研究の進展を示していると考えられる
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今後の研究の推進方策 |
脳幹部大縫線核や青斑核周囲のα作動神経やセロトニン神経の枯渇あるいは過剰状態にあるにある様々なステージにある疼痛患者(急性期・慢性期)のCPMの動態を詳しく解析し、疼痛動態とCPMの動態を関連性について何らかの見解が得られることを期待して研究をすすめ、痛みの臨床評価方法や診断治療法の予知などに応用できる糸口を探求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は主にヒトでの実験計画であり、現有する脳波計などを使用して実験を遂行することが可能であった。しかし疼痛を多面的に評価するため、自動的かつ定量的に痛みを与える装置の開発が必要であった。そのための予算を計上していたが、複雑なプログラムンの開発が必要となり、装置の完成に至ることができなかった。現在もプログラミングを行うための外部との打ち合わせをおこなっているため、プログラム開発に時間がかかり必要とする装置の購入に至らなかったの主な理由である。 2013年度に計上した予算は痛覚圧力発生装置として購入する予定であり、それに付随して本年度はADボードを通じでPCによるコントロールを行える装置を発注する計画である。実験プロトコールが特に初年度想定されていたものより複雑なものを想定している。
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