研究実績の概要 |
舌は口腔機能を担う最も重要な器官の一つである.この重要な器官の機能喪失は“話す”“食べる” といった重要な生体機能の欠如,“味わう”といった生活の質の低下につながる.口腔顎顔面領域の悪性腫瘍のうち舌癌は約60%を占め, 広範囲な舌切除にあたっては同時に遊離皮弁による再建術による機能回復が標準的な治療となっている.一定の機能回復を達成し得た今日,形態のみならず感覚の回復についても議論されるようになり,2012年,C.Guerin-Lebaillyらは,再建した舌について約半数に感覚の回復を認めたとの報告をしているが,従来の末梢刺激による被験者の主観によるものである.これまで再建した舌と大脳の機能局在を明らかにした研究はない.再建した舌刺激による一次体性感覚野の機能局在を明らかにすることを目的とし, 脳磁計(Magnetoencephalography, MEG)検査による大脳皮質一次体性感覚野(Somatosensory evoked fields, SEFs)計測を行なった.再建舌刺激においてもSEFを確認することができた.SEFSのみならず二次体性感覚野の関与も示唆された.さらに解析方法により脳活動を確認できる可能性が示唆され, 解析方法の検討を進めた.2014年11月-2015年9月まで産前産後育児休暇により一時研究が中断したが,今後,被験者をさらに募集し解析をすすめる予定である.
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