研究課題
高齢者の歯科治療では様々な全身的偶発症が発生するが、なかでも異常高血圧は非常に多い。異常高血圧は単に血圧が上昇するだけでなく重篤な不整脈、心筋虚血、脳卒中などに進展しうるため、その予防は高齢者歯科治療で重要な意味を持つ。異常高血圧を予防するには精度の高い予測が必須となるが、これまで有用な手段がなかった。そこで、血圧をリアルタイムに制御している生体の複雑な循環制御系をシステム同定という工学的手段により解析し、数学モデルとして現すことにより、異常高血圧を予測できるのではないか、という仮説を立てた。本研究の目的はシステム同定を用いて、高齢者歯科治療における異常高血圧の精度の高い予測方法を確立することである。平成26年度は、高血圧症、虚血性心疾患(冠状動脈疾患)、心臓弁膜疾患(感染性心内膜炎)、不整脈、糖尿病、慢性腎疾患(CKD)を有する有病高齢者において、循環系を閉ループに見立てた場合に、それに対する外乱要因として、1/8万アドレナリン含有局所麻酔薬、フェリプレシン0.03単位添加3%塩酸プロピトカインを投与した場合の、血圧ならびに心拍数へのインパクトに関する基礎的な検討を行った。各種生体信号は12bit AD変換し、LabView(National Instlements TM)を用いて記録・解析を行った。その結果、フェリプレシンは収縮期・拡張期血圧を上昇させる可能性が高く、血圧上昇は投与量に依存している可能性があり、その上昇は平均で<10mmHg程度であるが、心拍数には影響しない可能性が高いことが明らかになった。アドレナリンは収縮期・拡張期血圧を低下させる可能性があるが、その血圧低下は投与量に依存している可能性があるが、その低下は平均で<10mmHg程度である。一方、心拍数を上昇させる可能性が高く、投与量に依存している可能性が高いことが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度は、高血圧症、虚血性心疾患(冠状動脈疾患)、心臓弁膜疾患(感染性心内膜炎)、不整脈、糖尿病、慢性腎疾患(CKD)を有する有病高齢者において、循環系を閉ループに見立てた場合に、それに対する外乱要因として、1/8万エピネフリン含有局所麻酔薬、フェリプレシン0.03単位添加3%塩酸プロピトカインを投与した場合の、血圧ならびに心拍数へのインパクトに関する基礎的な検討を行った。各種生体信号は12bit AD変換し、LabView(National Instlements TM)を用いて記録・解析を行った。その結果、フェリプレシンは収縮期・拡張期血圧を上昇させる可能性が高く、血圧上昇は投与量に依存している可能性があり、その上昇は平均で<10mmHg程度であるが、心拍数には影響しない可能性が高いことが明らかになった。アドレナリンは収縮期・拡張期血圧を低下させる可能性があるが、その血圧低下は投与量に依存している可能性があるが、その低下は平均で<10mmHg程度である。一方、心拍数を上昇させる可能性が高く、投与量に依存している可能性が高いことが明らかとなった。予測を実現するために上記のパラメータ間の線形の関連に加えて、システム同定によるさらなる解析を行う予定である。
予測を実現するために、新規の方法論によるシステム同定を用いたさらなる解析を行う予定である。
平成26年度は既存の設備を用いた生体情報信号記録ならびに解析を主体としたため次年度使用額が生じた。
平成27年度は新たなシステム同定解析手法を確立するために、ソフトウエア開発ならびにオーバーヘッドの少ないマルチスレッド処理を実現するハードウエア購入を行う予定である。
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DENTAL DIAMOND
巻: 39 ページ: 105-110
巻: 39 ページ: 28-39