研究課題/領域番号 |
25463132
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉川 博之 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20547575)
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研究分担者 |
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
照光 真 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60401767)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経損傷 / 味蕾 / 舌神経 |
研究実績の概要 |
舌神経損傷により、舌乳頭の消失・萎縮が認められることがある。茸状乳頭は鼓索神経および舌神経の二重支配を受けており、それらの神経の障害により味蕾の萎縮が生じる。しかしながら臨床では、舌乳頭の萎縮を認める患者と認めない患者がいることが観察される。本研究では臨床的および基礎的分析により舌神経損傷の病態分析を行うことを目的としている。 本年度は臨床的分析を中心に行い、舌神経損傷における臨床所見・検査所見と舌乳頭萎縮の関係について検討した。舌神経障害12症例を対象とし、舌乳頭の萎縮と受傷後期間、味覚、臨床症状、重症度、病的神経形態との関連を解析した。異常感覚の重症度は臨床症状により感覚の異常から3段階に分けて判定した。また3次元高分解能神経MRIにより障害舌神経を描出し、検討を行った。結果は、舌乳頭の萎縮は7人で認められた。萎縮がなくともも味覚が逸脱していた例が存在した。重症度3が75%で最も多く、そのうち萎縮を認めた例が全体の41%であった。MRI所見で神経の走行の異常が認められる例で萎縮を認めたのは71%、神経の走行に異常を認めなかった例で萎縮を認めたのは40%であった。また神経周囲の結合組織増生は、萎縮例のみ42%でみとめられた。今回の臨床的検討では異常感覚および味覚からは舌乳頭萎縮の関連性は低く、経時的変化との関連が示唆された。 基礎的検討では、これまで舌神経と同様三叉神経第三枝の下顎神経の終枝である下歯槽神経を切断し、神経切断部において神経栄養因子であるBDNFが組織学的に神経再生に関与する可能性が示唆された。これらを踏まえ、舌神経損傷モデルにおけるBDNFの関与および味蕾に強く発現する受容体遺伝子をマーカーに味蕾消失との関係を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は臨床的検討を主に行う共同研究者の所属異動等があったため、予定を変更し、臨床的検討を中心に行った。そのため、モデル動物を用いた基礎的検討について研究に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は基礎的検討を行っていく。研究実績の概要でも述べた通り、舌神経損傷モデルにおいて神経栄養因子であるBDNFの関与および味蕾に強く発現する受容体等のマーカーの発現を解析することで神経再生と味蕾消失・回復との関係を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度では、臨床的検討を中心に行ったため、基礎的検討で使用する予定であった試薬や動物などの購入の支出が抑えられたため、次年度への繰り越しが生じた。 (使用計画)実験試薬および実験動物などの消耗品購入や実験施設・実験動物飼育施設使用料に係わる費用を計上する。
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