本年度は前年度に引き続き、対象者(乳幼児)に対してインピーダンス法を用いた体組成分析および血液検査による代謝ホルモン等を測定した。また、この傾向が成人においても同様に発生するのかは不明であるため、成人を対象にして同様の調査を行った。その成果は、第45回日本歯科麻酔学会総会において発表した。 方法:対象者は、3か月~4歳の乳幼児である。術前日にBioScan 920-2を用いて体組成を測定した。術前の絶飲食については、全身麻酔5時間前までに人工乳、2時間前までにブドウ糖液を飲用させた。手術室入室し、緩徐導入にて入眠後、体組成を測定した。24G留置針にて静脈穿刺し、1回目の採血を行い、その後ブドウ糖含有輸液を開始した。麻酔導入1.5時間後に2回目の体組成測定および採血を行った。同様の研究を成人に対しても行った。成人では、術前に炭水化物飲料の投与の有無により、同じ項目を測定した。 結果および考察:月齢は平均20.5ヵ月、平均身長80.0cm、平均体重11.0kgであった。前日と比較した入室時の体組成では、総水分量は+4.7%、筋肉量は+0.1%、タンパク質量は-0.1%、グリコーゲン量は+0.2%であった。入室時の血中ホルモン値は、総ケトン体260.3マイクロmol/L↑、アセト酢酸50.7マイクロmol/L、βヒドロキシ酢酸209.7マイクロmol/L↑、遊離脂肪酸0.66mEq/L、レチノール結合蛋白1.73mg/dL↓、レプチン5.37mg/dL、血糖81.3mg/dLであった。1.5時間経過後では、総ケトン体1029マイクロmol/L↑、アセト酢酸177マイクロmol/L↑、βヒドロキシ酢酸852マイクロmol/L↑、遊離脂肪酸1.10 mEq/L↑、血糖183 mg/dL↑であった。これは、術前に炭水化物飲料の経口投与を受けていない成人においても、同様の傾向が示された。
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