研究課題
チタンファイバー綿製ブロックを用いた研究を行い、ブロックの空隙が骨芽細胞に及ぼす影響とブロックで再建したウサギ下顎骨の力学的評価を主に行った。空隙が骨芽細胞の及ぼす影響については60%、73%、87%の空隙を用意して骨芽細胞をブロック上に播種し、同様の空隙のTCP製ブロックとの比較を行った。空隙87%のチタンファイバー綿製ブロック上に播種した骨芽細胞がもっとも高い活性を示し、増殖・分化ともに他の空隙およぼTCP製ブロックより有意に高かった。これを受け、空隙87%のブロックを用いたウサギ下顎骨モデルの力学的評価では当初計画通り3点曲げ試験を実施したが、チタンファイバー綿製ブロックをハイドロキシアパタイトでコーティングしたものを用い、コーティングをしていない群との比較を行った。3点曲げ試験は骨接合部の遠心部分に行った。非コーティング群では曲げ強さは平均およそ70Nであったのに対し、ハイドロキシアパタイトコーティング群では有意に高く、平均およそ200Nと約3倍の強さを示した。3点曲げ試験の破断部分を電子顕微鏡で解析したところ、非コーティング群ではほとんど骨様硬組織が認められないのに対し、ハイドロキシアパタイトコーティング群では骨様硬組織がチタンファイバーの網目を完全に接合した状態となっていた。また両者の組織標本を比較すると非コーティング群ではブロック内部の骨量が面積あたり約10%であったのに対し、ハイドロキシアパタイトコーティング群では有意に高くその値は約50%であった。これらの結果から、骨形成促進能をハイドロキシアパタイトコーティングによって賦与したチタンファイバー綿製ブロックは顎骨と強固に結合できる有効な顎骨再建材料になり得ることが示された。
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Biomaterials
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