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2014 年度 実施状況報告書

非定型歯痛のへの大脳辺縁系機能変調の関与

研究課題

研究課題/領域番号 25463142
研究機関九州歯科大学

研究代表者

椎葉 俊司  九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (20285472)

研究分担者 布巻 昌仁  九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10341489)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード慢性疼痛 / 筋筋膜痛 / 交感神経活動 / 大脳辺縁系 / 前頭前野 / 情動ストレス
研究実績の概要

情動ストレスに対しては非定型歯痛群(Atypical Odontalgia,AO)で交感神経活動の指標であるL/Hのより大きな上昇が認められた.自律神経活動の調節は視床下部室傍核を介して行われるが,視床下部室傍核は大脳辺縁系,前頭前野の上位脳と中脳,橋,延髄孤束核までの延髄の下位脳幹の双方とネットワークを持ち、中枢自律神経線維網を構成する.恒常性維持のために自律神経に伝えられる情報は身体ストレスと情動ストレスでは異なった経路で行われる.身体ストレスは生命危機回避の観点から,迅速な対応が必要となるため,迷走神経を介して孤束核に伝えられた身体情報は,直接視床下部室傍核に到達する.情動ストレスには即時の生命危機はないが,より高度な情報処理が必要なため上位脳を経て,視床下部室傍核に伝えられる.情動ストレスに対する交感神経活動の違いは上位脳での情動ストレス処理がAO群とcontrol群とでは異なっていたことを示す.情動の中枢は大脳辺縁系にある.MPS群の交感神経活動の亢進に情動ストレスにより刺激される大脳辺縁系の機能変調が考えられる.情動ストレス負荷時の前後半のL/Hを比較した結果,control群では後半で有意に低下したのに対してAO群では低下は認めなかった.本研究では3種類のストレス価の異なる映像を快,不快,中性の順序で被験者に提示した.被験者はある程度の時間,ストレス画像の提示を経験すれば不快なストレス画像が提示されるタイミングの予測が可能である.通常,生体は情動ストレスによる心身への影響を軽減するために,情動的な防御態勢を作ることができる. その中心的な役割を果たすのが前頭前野である.前頭前野は大脳辺縁系が情動ストレスに対し警戒を発したのを受けて,視覚および体性感覚野における入力を減弱させることで情動ストレスに適応しようとする.MPS群は前頭前野の情動ストレスへの適応機能の低下が推察される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は非定型歯痛の発症機序に大脳辺縁系、前頭前野などの高次脳機能障害が関与することを明らかにすることを目的とする.2年が経過して情動ストレスに対する交感神経活動変化によって非定型歯痛患者の高次脳機能の変調を予測することができた.当初の目的を達していると言える.

今後の研究の推進方策

本研究の最終年度を迎え,高次脳のどの部分が機能変調を来しているかを明確にする必要性がある.また,機能変調が亢進あるいは低下のいずれであるかを明確にする必要もある.そのために,映像を用いた情動ストレス下にfMRIを用いた臨床研究を行う予定である。結果として扁桃体,帯状回,前頭前野の機能変調が予測される。大脳辺縁系を賦活させる薬剤としてケタミンがある。ケタミンはペインクリニックでは鎮痛薬としてよく使用されるが,近年,そのNMDA受容体を介した抗うつ効果も注目されている。慢性疼痛患者へケタミンを投与した場合のfMRIを用いた検討まで研究を進めることができれば,研究の目的は達成したと言える.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ケタミンの抗うつ効果2014

    • 著者名/発表者名
      長谷川 円 椎葉 俊司 左合 徹平 多田 幸代 中津 由博 山口 喜一郎 長行事 由貴 原野 望 布巻 昌仁 渡邉 誠之
    • 学会等名
      第42回日本歯科麻酔学会
    • 発表場所
      日本歯科大学新潟生命歯学部
    • 年月日
      2014-10-11 – 2014-10-12
  • [学会発表] 筋•筋膜痛患者の自律神経活動2014

    • 著者名/発表者名
      椎葉俊司 左合徹平 布巻昌仁 原野 望 鬼頭慎司 小田昌史  松本 忍田中達朗 森本泰宏 渡邉誠之
    • 学会等名
      第27回口腔診断学会
    • 発表場所
      九州大学百年行動
    • 年月日
      2014-09-19 – 2014-09-20

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公開日: 2016-05-27  

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