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2013 年度 実施状況報告書

脳組織の恒常性に対する麻酔薬の障害作用に関する細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25463145
研究機関昭和大学

研究代表者

飯島 毅彦  昭和大学, 歯学部, 教授 (10193129)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードグリコカリックス / 敗血症 / 血管透過性 / FITC-WG / LPS / DLS / レクチン / ロダミン
研究概要

血管内皮表層には糖タンパク質からなるグリコカリックス層(glycocalyx layer)が存在しており、その循環生理学的機能について注目されている。本研究では、背側皮膚透明窓を装着したマウスにエンドトキシンであるLPSを投与した敗血症モデルを用い、グリコカリックス層の減衰を生体蛍光顕微鏡下で観察すると共に、白血球粘着能への影響について検討した。
実験には背側皮膚透明窓(DSC)を装着したBALB/cマウスを用いた。実験開始時にLPS(E.coliO26:B6由来)を2mg/kg body weightで腹腔内投与したのち、18時間後に同量を追加投与し敗血症モデル群とした。実験開始前および開始後24時間時点で、グリコカリックス層に結合するとされている蛍光標識小麦由来レクチン(FITC-WGA)を静脈内投与し、DSC内微小血管床におけるFITC-WGAによる血管内皮の染色を生体蛍光顕微鏡で観察した。実験開始後24時間時点でローダミン6Gの静脈内投与により染色された白血球の挙動を一定時間動画撮影し、解析に供した。
対照群の血管内皮表層ではFITC-WGAによる染色を明瞭に認めた。敗血症モデル群でFITC-WGAによる血管内皮表層の染色は対照群と比較して、層の厚み、蛍光の明るさ共に明らかに減弱していた。また、敗血症モデル群では、細動脈、細静脈のいずれにおいても血管内を流れる白血球の粘着性の亢進が観察された。
対照群の血管内皮表層には、WGAが認識するグリコカリックス層が一定の厚みで存在する一方、LPS投与群では層の厚み、蛍光の明るさが減弱しており、敗血症病態において血管内皮のグリコカリックス層が崩壊していることが示唆された。また、敗血症病態下における粘着白血球数増加の原因の一つとして、グリコカリックス層の崩壊が寄与していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

グリコカリックスをきわめて薄い層であるため可視化することは困難である。しかし、本実験では、敗血症モデルを用いることにより、グリコカリックス層の変化を蛍光顕微鏡下にとらえることができた。したがって、研究は進展している。しかし、グリコカリックス層のpositive controlとnegative contrを確実に作成する方法は確立したいないため、超微構造をとらえる段階にまでは至っていない。今後さらに実験を進め、グリコカリックスの生理的および病理学的動態を検討していきたい。

今後の研究の推進方策

現在、超微構造を観察するための準備を行っている。かん流固定を行い、ランタンを用いて糖タンパクを染色し、電子顕微鏡で観察する準備を進めている。従前の研究を参考に薬理学的にグリコカリックスを破壊する方法を試しているが、実際には破壊した変化をとらえることができていない。さらに薬剤の選択を行い、確実なcontrolモデルを作っていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

計画よりも消耗品等の購入が少なかったため、また学会発表および研究成果の論文発表が計画されていたが実施しなかったため次年度使用額が生じた。
次年度は学会発表および論文発表で使用予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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