研究実績の概要 |
1. セボフルラン、イソフルラン、デスフルラン麻酔時の口腔組織血流量-量依存性の検討 吸入濃度を0.5、1.0、1.5 MACと変化させた時、セボフルランとイソフルランでは総頸動脈血流量(CCBF)が変化しないのに対して、デスフルランではCCBFが増加した。しかし、口腔組織血流量は、イソフルランで舌粘膜組織血流量(TBF)、咬筋組織血流量(MBF)、下顎骨骨髄組織血流量(BBF)、上顎歯槽粘膜下組織血流量(UBF)、下顎歯槽粘膜下組織血流量(LBF)が濃度依存性に増加したのに対して、セボフルランではTBF、MBF、LBFが、デスフルランではBBFとLBFが濃度依存性に増加したが、その増加の程度はイソフルランのそれよりも小さかった。 2. 動脈血二酸化炭素分圧の変化がレミフェンタニルによる口腔組織血流量の減少に及ぼす影響 0.5 MACセボフルラン麻酔下では、0.4 μg/kg/minレミフェンタニル併用時には、動脈血二酸化炭素分圧の増減によるCCBFとTBFの変化が抑制されたが、MBF, BBF, UBF, LBFの変化は影響を受けなかった。 3. レミフェンタニル投与時の顎顔面領域の血流再分布メカニズムの検討 0.5 MACイソフルラン麻酔下に0.4 μg/kg/minレミフェンタニルを投与し、CCBF、MBF、BBFに加えて、外頚動脈血流量(ECBF)、内頚動脈血流量(ICBF)、顎下腺組織血流量(SMBF)を観察した。その結果、レミフェンタニル投与時には、従来想定していたような外頚動脈系から内頚動脈系への血流の再分布が起こっている可能性は考えにくく、むしろ唾液腺組織など、口腔領域内での血流再分布が起こっている可能性が高いことが示唆された。
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