研究実績の概要 |
顎矯正手術に際して、従来の頭部X線規格写真の二次元分析に加えて、SimPlantO&O(Materialise Dental)を使用して、三次元セファロ分析による術前診断を行い、X線CTデータを用いた顎矯正手術シミュレーションを行った。さらに、手術シミュレーションによる上下顎骨の骨切り位置を実際の手術へ反映する簡便な方法として専用ジグを考案し、三次元治療計画を実際の手術へ反映する手法を確立した。 今回の研究では、金属補綴物のない顎変形症患者(上下顎非対称を有する骨格性下顎前突症)3名の術前および術後1ヶ月に撮影したX線CTデータを使用した。顎矯正手術シミュレーションは、DICOM3ファイルからSimPlantO&Oにより三次元画像を作成し、頭蓋上下顎骨を分離して、三次元セファロ分析による左右高径の評価と顎矯正手術シミュレーションを行った。術式は、Le Fort I型骨切り術(Trapped osteotomy)及び下顎枝矢状分割術(Short lingual split method)により行った。また、実際の手術への顎骨骨切り位置の転写は専用ジグ(上顎ジグ(T-Gauge)、下顎ジグ(L-Gauge)を用いて行い、顎骨の移動方向と距離はシミュレーション上のtrapped osteotomy部位でX,Y,Z三方向の計測部位を術中に計測して再現する方法とした。術前手術シミュレーション画像と実際の術後三次元画像との位置合わせは、ICP法により行い、リバースエンジニアリング・ソフトウエアspGauge(ARMONICOS)を用いてベストフィット法により三次元点群データの位置合わせを行い、本法を用いた顎矯正手術における顎骨位置の三次元的な誤差を検討した。その結果、平均誤差0.28mm、標準誤差0.69mmと臨床的に十分な精度を有していた。
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