歯科治療後の体位変換や起立動作により生じる一過性の血圧低下からの回復遅延は,眩暈やふらつきを誘発し,転倒による重大な偶発症を招く可能性がある.本研究では,歯科治療時に併用される静脈内鎮静法後の心循環調節機能を経時的に評価することで,静脈内鎮静(ミダゾラムおよびプロポフォール)により減弱した心循環調節機能の回復程度および回復時間を明らかにすることを目的に実験を行った.その結果,静脈内鎮静からの意識覚醒は30分から40分で鎮静薬投与前のレベルに回復したが,減弱した心循環調節機能は,意識覚醒よりも早く10分から20分で回復した.このように,心循環調節機能の回復は意識覚醒よりも早いことが示唆された.
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