舌粘膜形態形成途上のラット胎仔舌粘膜組織へElectropolation法による遺伝子導入を行った。妊娠ラットより胎仔を採取し、舌粘膜を周辺組織とともに分離した。得られた舌粘膜組織をNEPAGENE社製遺伝子導入装置により各種蛍光タンパクベクター(GFP、RFP、DSRed)を導入後、Opti-MEM血清低減培地により器官培養(5% CO2、95% 大気)を行った。導入後24、48、72時間後にLEDイルミネータ照明下の実体顕微鏡下で組織内に導入された蛍光タンパクを経時的に観察し、導入72時間後において組織を固定・凍結切片を作製し観察を行った。その結果、導入後72時間において実体顕微鏡下で舌粘膜組織内に限定的ながらも比較的良好な蛍光が見られ、共焦点顕微鏡からの構築像で粘膜組織下においても導入細胞像の存在を確認した。これらの結果に関し第56回歯科基礎医学会大会・平成27年度日本歯科大学歯学会大会・総会においてポスター発表を行った。 当初、組織導入後の組織内の蛍光タンパクにおいては固定・切片作成の過程で蛍光が著しく減弱するとの危惧があったが、条件を整えることで蛍光減弱を回避することができた。 同時にラット胎仔舌粘膜組織の形態形成過程で抽出されたマイクロアレイによるmRNA発現プロファイルによる転写因子のカスケード解析(Cytoline社)を行い形態形成の関与が示唆される転写因子の抽出を行った。そのうち2つの候補に関し、コントロールsiRNAとともにsiRNA(Sigma-Aldrich社製Mission siRNA)を合成し、蛍光タンパクを導入マーカーとしラット胎仔舌粘膜組織へElectropolation法により組織内へ共導入を行った。今回の導入結果を踏まえ、現在論文投稿に向け準備中である。
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