研究課題/領域番号 |
25463156
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
笹尾 真美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00205832)
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研究分担者 |
野口 いづみ 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (60103545)
谷口 英喜 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (60305456)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 術前経口補水療法 / 術前炭水化物負荷 / 経口補水液 / インスリン抵抗性 / 酸化ストレス / 抗酸化力 / 術後回復能力強化 |
研究実績の概要 |
下顎後退術を予定するASAPS-1の患者を対象とし,術前経口補水液の成分の差による周術期の体液バランスとストレスに対する影響ついてランダム化介入試験を実施している. 術前夜夕食後から絶食,飲水は翌朝手術室入室2時間前までとし,指定飲料1500mLの経口摂取を指示した.対象を摂取飲料によりORS群:低濃度(2.5%)炭水化物飲料,HCHO群:入室直前に低浸透圧高濃度(12.5%)炭水化物飲料,MW群:ミネラルウォーターの3群に分けた.ORS群とHCHO群の術前炭水化物総摂取量はほぼ同等となるようにした.麻酔方法(プロポフォール,レミフェンタニル),術中輸液,術後の経管栄養は統一し,測定項目は,HOMA-IR(インスリン抵抗性),コルチゾール,酸化ストレス(d-ROMs),抗酸化力(BAP),体液バランスとし,術前,入室前,下顎骨離断後,閉創後,術後1日目,3日目(経管栄養),経口摂取開始翌日に測定している.併せてSTAI-JYZによる心理テストも行い,導入時の胃液量とpH測定も行っている. これまでの成果から,周術期体液バランスは3群ともに著変なく,順調に測定項目のサンプリングを進めている.術前経口補水療法と同等の術前炭水化物負荷によって,下顎後退術での周術期インスリン抵抗性は抑制される可能性が示唆された.これは日本臨床麻酔学会第34回大会で報告した.コルチゾールは術中と術後3日目に低下したが,d-ROMsは術後上昇傾向がみられている.BAPは本研究での測定点すべてで適値に不足した状態が示されているが,ORS群とHCHO群は術中の低下が少なく,MW群より高値を示し,術前経口低炭水化物摂取が抗酸化力低下を予防する可能性が推測される. サンプルは現在までに予定の6~7割収集できたと考えている.今後,さらに症例を追加する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鶴見大学歯学部附属病院において下顎後退術待機患者を対象としているが,臨床研究を行う環境として十分な協力が得られている.しかし,顎変形症の手術として下顎枝矢状分割術が選択される症例数が過去に比較し減少傾向にあり,予定症例数に達していないため,やや遅れていると判断した.午前に開始する手術症例を対象とするため,対象症例があっても採用できないことがあり,症例数追加の妨げとなっている.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度内でデータ収集を続け,成果を検討し,学会発表とともに論文にまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品購入で,年度予算で賄える必要最低限に購入したが経費に端数が生じたため,次年度への繰り越しとした.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り越された経費は,新年度の補助金を合せて試薬の購入,検体検査料などとして使用予定である.
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