研究課題/領域番号 |
25463157
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
川口 浩司 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (50277951)
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研究分担者 |
藤原 久子 鶴見大学短期大学部, 歯科衛生科, 准教授 (80396746)
山田 浩之 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90267542)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞 / 分化 |
研究実績の概要 |
本研究においては、従来アポトーシスのマーカーとして考えられているポリADP-リボースに着目し、その活性低下による細胞分化への影響を調べている。間葉系幹細胞(MSC)はosteoblastの他に、chondrocyteやadypocyteに分化でき、その分化マーカーについても確立されているが、詳細なメカニズムについては不明な点が多い。本研究は、PARP-1欠損マウス由来のES細胞が分化異常を起こすことに着目し、Parp-1遺伝子が幹細胞レベルでの分化に関与しているという仮説を立て、現在解析を行っている。 本研究では、マウス大腿骨骨髄由来の間葉系幹細胞とポリADP-リボシル化反応の阻害剤を用いて、ポリADP-リボシル化反応という観点からの間葉系幹細胞からの分化のメカニズムの解明を目的としている。マウス間葉系幹細胞から、osteoblast、adipocyte、chondrocyteへそれぞれ分化させ、その際に阻害剤を併用した群とコントロール群を比較した結果、adipocyteとchondrocyteへの分化には有意差は認めらなかったが、osteoblastへの分化経路においては、阻害剤の添加によって有意に骨芽細胞への分化が遅延が認められた。本年度は、この骨芽細胞への分化の阻害のメカニズムについて、骨分化マーカーのmRNAレベルでの発現レベルの変化をみることによって調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、阻害剤添加による間葉系幹細胞の分化に対する影響について、in vitroの解析を全て完了させる予定にしていた。タンパクの発現レベルでの解析が必要なマーカーについてはまだ調べられていないが、その他のin vitroにおける骨芽細胞への分化に必要な項目については調べることが出来た。具体的には、阻害剤の投与によって影響を受けると考えられる間葉系幹細胞への細胞毒性のレベル、増殖能への影響に加えて、細胞外基質の生成に対する影響、更にはmRNAレベルでの骨分化マーカーの発現レベルへの影響などである。この結果、阻害剤の投与によって、阻害剤そのものによる細胞毒性がなく、細胞増殖能への影響が有意に認められない濃度の薬剤投与における、間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化に対する阻害剤の影響を調べることが出来た。従って、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
タンパクレベルでの解析が必要なマーカーがあるものの、in vitroにおける解析は、細胞毒性、細胞増殖能、細胞外基質の生成、mRNAレベルの骨分化マーカーの発現レベルを調べることが出来、概ね予定通りに進捗している。今年度の今後の予定としては、まずタンパクレベルでの解析が必要なマーカーの発現レベルを調べることを最優先とする。想定している結果が得られたら、次にはin vivoにおける解析を行う予定である。ヌードマウスに間葉系幹細胞を移植し、骨の再生能力に対する阻害剤の影響を調べる予定にしている。具体的には、マウス頭蓋骨骨欠損モデルを使用して、細胞培養から阻害剤を併用した細胞と、コントロール群の細胞をそれぞれ頭蓋部の骨欠損部に移植し、更に阻害剤を持続投与させるマウスとコントロール群に分けて飼育し、in vivoにおける骨の再生能力に対する影響を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度使用予定の、タンパク解析用のwestern blottingのメンブレンの国内在庫がなく納入が出来なかったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
western blotting用のメンブレンを購入。
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