研究課題/領域番号 |
25463159
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
百田 義弘 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60247880)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医学 / 中枢神経 / 血管周皮細胞 / 一過性脳虚血 |
研究実績の概要 |
脳虚血による傷害を受けた際、傷害部の微小血管周囲において神経再生が生じるという研究成果については、これまで多く報告されているが一過性脳虚血/再灌流後の神経再生メカニズム、新生ニューロンの起源については明らかにされていない。本研究は、マウス一過性脳虚血/再灌流モデルを用い、中大脳動脈15分間虚血/再灌流において、再灌流3,5,7日後では梗塞はみられなかったのに対し、20、30分間虚血/再灌流では3,5日後に梗塞を認めた。大脳皮質での15分間の非致死的虚血負荷領域においても再灌流3日後より致死的虚血負荷領域で発現するnestin陽性神経幹細胞の発現がみられ、その細胞は血管周皮細胞のマーカーであるPDGFRβ陽性細胞であることが確認された。さらに免疫電子顕微鏡観察においても神経幹細胞の起源は血管周皮細胞であると考えられた。15分間の大脳皮質非致死的一過性脳虚血負荷領域から神経幹細胞を抽出し浮遊培養を行いニューロスフェアを形成させた後、免疫組織染色法により神経幹細胞の特性を解析した。大脳皮質から得られた虚血誘導性神経幹細胞数は非致死的15分虚血と比較し、20分致死的虚血、永久虚血領域において有意に増加した。15分間の非致死的虚血誘導性神経幹細胞は、20分間の致死的虚血誘導性神経幹細胞と同様にTuj-1陽性幼若神経細胞さらにはMAP2陽性神経細胞に分化することが確認された。このように致死的脳虚血負荷をくわえた場合と同様に一過性非致死的脳虚血負荷をくわえた場合においても血管周皮細胞が神経再生の起源であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫電子顕微鏡観察により虚血誘導性神経幹細胞の起源が血管内皮細胞であることが画像確認でき、浮遊培養により形成されるNeuro-like cellは神経細胞に分化することが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
脳梗塞部位から得られる神経幹細胞と同様に一過性非致死的虚血負荷領域部においても神経再生機転が亢進することが明らかとなった。しかし、非致死的虚血負荷によって得られる神経幹細胞は致死的虚血負荷領域と比較すると少なく、今後は虚血負荷の程度による血管周皮細胞の経時的動向について観察する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた免疫染色用抗体に余裕が生じたため次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度において、物品購入費として使用する計画である。
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