研究課題/領域番号 |
25463162
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大島 昇平 北海道大学, 大学病院, 講師 (00374546)
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研究分担者 |
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10322819)
高崎 千尋 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60451449)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カルシニューリン / 歯の萌出 |
研究概要 |
マウスを用いて歯の形成、萌出期(歯胚の硬組織形成期にあたる生後7日(P7)、生後10日(P10)、歯の萌出直前の生後14日(P14)、歯の萌出後の生後4週(4W))の歯の周囲の組織におけるカルシニューリンの発現を免疫組織化学法にて調べた。P7ではCNAalphaが歯肉上皮、エナメル器である、乳頭層に発現がみられ、CNAbeta、CNB1が歯肉上皮、エナメル器である、乳頭層、星状網、外エナメル上皮に発現がみられた。P10ではP7でみられたCNAalphaの発現に変化がみられなかったが、CNAbetaでは乳頭層、星状網での発現が低下し、CNB1では外エナメル上皮の発現が強くなった。P14の歯胚では、歯肉に近い咬頭の退縮エナメル上皮と歯胚に近い歯が萌出すると考えられる歯肉でのCNAalpha、CNAbeta、CNB1の発現が強くなった。4Wでは歯肉、付着上皮、歯根膜にCNAalpha、CNAbeta、CNB1の発現がみられた。歯の萌出期に歯胚の周囲の組織にカルシニューリンが発現し、かつ発現に変化がみられる事から歯の萌出にカルシニューリンが関与している可能性が考えられた。また、歯の萌出後の歯根膜にカルシニューリンが発現している事から、咀嚼の調節にカルシニューリンが関わっている可能性も考えられた。 夜間に母子分離させ、その後吸啜させた、生後4日(P4)、生後8日(P8)の仔マウスの脳幹部におけるc-fosの発現を免疫組織化学法にて調べた。これまでの報告と同じように、吸啜させた仔マウスの弧束核、延髄網様体、三叉神経核にc-fosの発現がみられたが、発現部位や発現細胞の数にはP4とP8で違いがみられないようであった。c-fosの発現については解析に用いた個体数が少なく、また、適切な実験プロトコールを決定するために時間がかかったため、引き続き解析が必要と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では平成25年度に、1)歯胚の器官培養、2)歯の萌出時の歯周組織におけるカルシニューリンの発現解析、3)離乳期マウスの摂食時の脳幹におけるc-fosの発現変化について研究を進める予定であった。このうち2)については、研究は順調に進行しており、3)についても解析をすすめており、さらに平成27年度に行う予定であった、感覚神経切断後の離乳期マウスの摂食時の脳幹におけるc-fosの発現変化についても研究をすすめている。ただし、1)については研究がうまく進んでおらず、技術的に歯胚の器官培養が困難になる可能性も考えられる。また、3)については当初予定していた試薬が製造中止になるなど、安定した実験プロトコールの確立に時間が必要になっている。さらに今年度は研究室の耐震補強工事による仮移転があり、研究室の立ち上げに時間を要した経緯もあった。以上を総合的に考慮すると研究の達成度としてはやや遅れていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
歯胚の器官培養については引き続き確立をめざして研究を継続するが、器官培養がうまく行かない場合も考えられる。その際にはシクロスポリン投与によるカルシニューリンの機能抑制が歯の形成、発育に及ぼす影響について研究を進めるために、マウス生体に直接シクロスポリンを投与して、歯の形成、萌出時に形態的に変化がみられるか解析をおこない、発現の変化する分子についても探索を行う。 摂食時における摂食時の脳幹におけるc-fosの発現変化についても研究を進める。まずは試薬の変更があったために、安定した実験プロトコールを確立させる。その後、解析を行う発達段階の時期を増やし、研究を進める。また、感覚神経切断後の離乳期マウスの摂食時の脳幹におけるc-fosの発現変化も解析を行う発達段階の時期を増やし、研究を進める。 以上のように方策をたて、平成26年度も研究を推進していくように計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していたより、研究調査旅費、薬品類の費用が少なくなり、次年度使用額が発生した。 次年度の研究調査旅費、薬品類の費用として使用する予定である。
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