研究課題
顎関節を構成する骨および軟骨細胞は、増殖および分化の過程において、低酸素状態への感受性が高く、関節疾患の発症時や増悪時における、臓器内での酸素環境の変化が報告されている。小児期の睡眠時無呼吸症候群の発症が報告されており、臨床研究から小児性睡眠時無呼吸症候群の患者は小下顎症を呈することが明らかとなり、顎関節の軟骨および骨の低成長がその病態の一つであると考えられている。7週齢SD系雄性ラット(n=10)を用い、IH群と対照群の2群に分けた。飼育チャンバー内の酸素濃度が1時間に20サイクルの間隔で4-21%に連続的に変化する間欠的低酸素状態を実験的に再現し、1日8時間、間欠的低酸素下でラットを飼育し実験モデルを作製した。IH群は間欠的低酸素下、対照群は通常大気下で飼育し、実験開始3週間後(10週齢時)に屠殺を行い、下顎の第一臼歯歯槽骨根管中隔に対し、マイクロCT撮影による骨微細構造解析を行った。統計学的解析には、Mann-Whitney U testを用いて群間比較を行った(P<0.05)。本モデルにおいては、IH群の体重は対照群と比較し有意に小さな値を示したものの、脛骨長径を測定したところ体重との相関係数は低い値を示し、全身骨への影響は少ない事が示唆された。しかし、マイクロCTによる骨微細構造の計測から、歯槽骨においては骨密度(BMD)およびbone volume/tissue volume(BV/TV)の有意な増加が認められた。機序の探求として、顎骨サンプルのPCR解析を行った結果、VEGF及びHIF-1のmRNA発現上昇が認められた。
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American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics
巻: In press ページ: In press
Archives of Oral Biology
巻: 61 ページ: 115-24
doi: 10.1016/j.archoralbio.2015.10.017.