研究課題/領域番号 |
25463179
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
加来 真人 広島大学, 大学病院, 講師 (10325194)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 凍結保存 / プログラムフリーザー / 磁場 |
研究実績の概要 |
アリザリン染色については、骨分化を誘導した間葉系幹細胞(MSCs)のすべての群においてアリザリン陽性反応が認められたのに対し、未分化群ではアリザリン反応は認められなかった。骨分化群においては、未凍結群とCAS群とではその染色性にほとんど差が認められなかったが、磁場無し群とDirect群は未凍結群より、弱いアリザリン陽性反応を示した。DNA量については、未分化群が骨分化群と比較して有意に高い値を示した。また、未凍結群とCAS群との間にDNA量に差は認められなかったが、磁場無し群とDirect群では有意に小さい値を示した。また全ての群において有意なDNA量の低下が認められた。 アルカリフォスファターゼ活性は、いずれの群においても骨分化群が未分化群と比較して有意に高い値を示した。また、未凍結群とCAS群との間に活性量の有意差は認められなかったが、 磁場無し群とDirect群は未凍結群、CAS群と比較して有意に低い活性を示した。また、カルシウム定量については、骨分化群は未分化群と比較して有意に高いカルシウム量を示した。また、骨分化群における未凍結群とCAS群のカルシウム量に有意な差は認められなかったが、磁場無し群とDirect群はCAS群と比較して有意に低いカルシウム量を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は磁場を利用したプログラムフリーザーを用いてラットMSCsの凍結保存を行った。その結果、最終到達温度-30℃、植氷時間15分間、磁場強度0.1mTの条件下でMSCsを凍結保存した場合、解凍直後の細胞生存率は約90%、解凍後48時間培養した細胞については約70%の細胞増殖能を示し、長期凍結保存の至適条件が決定された。 さらに平成26年度は凍結後のMSCsが未凍結群と同様に、骨分化能、および脂肪分化能を有することが明らかとなった。これらの結果から、進行状況としては、申請時にたてた計画通りに進んでいるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、動物実験を行っていく。実験には、4週齢の雄性Fischer 344ラットを使用し、凍結MSC群と未凍結群1群を設定する。MSCを採取後、平成25年度の実験結果より得た至適条件下で6か月間凍結保存を行う。また、4週齢雄性Fischer 344ラットをソムノペンチル腹腔内注射にて全身麻酔を施した後、歯科用低速エンジンと直径6mmのトレフィンバーを用いて、直径6mm、深さ0.5mmの骨欠損を作製する。凍結群では、凍結後のMSCを播種したメンブレンを欠損部に設置する。一方、未凍結群では凍結していないMSCを播種したメンブレンを設置する。骨移植後4、8、12、24週目にそれぞれのラットを灌流固定した後、頭頂骨を摘出し、浸漬固定を行う。次いで、EDTAを用いて脱灰を行い、脱水を経てパラフィン包埋を行う。厚さ7μmの前頭断連続切片を作製後、ヘマトキシリン・エオジン染色、および酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ染色(以下TRAP染色)を施し、光学顕微鏡を用いて移植骨周辺の組織学的観察を行う。
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