研究課題
1.凍結保存液に10%DMSOを用い、最終到達温度-30℃、植氷時間15分間、磁場強度0.1mTの条件下でMSCsを凍結保存した結果、解凍直後の細胞生存率は約90%であった。また、解凍後48時間培養した細胞については約70%の細胞増殖能を示した。2. 磁場を付与したCAS群、磁場無し群、直接ディープフリーザに細胞を投入したDirect群、および未凍結群の4群において骨分化能、脂肪分化能を比較した結果、未凍結群とCAS群では有意な差が認められなかったが、磁場無し群、Direct群ではその分化能が有意に低下していた。3. CAS群、Direct群、未凍結群および未処置群の4群における欠損部骨再生の組織学的観察を行った結果、MSCs移植後4、8週目では、新生骨面積に大きな差は認められなかった。移植16週後では、CAS群および未凍結群では顕著な骨新生を認め、移植24週経過時においては、さらに骨再生が進み、血管、結合組織に富む縫合部の再生が観察された。一方、Direct群および未処置群においては16、24週では欠損部中央付近を中心としてわずかな再生骨組織を形成するにとどまり、縫合部組織の再生も確認できなかった。以上の結果より、磁場を利用したプログラムフリーザーにおけるMSCsの至適凍結条件が明らかになった。また、凍結後のMSCsは、高い生存率および増殖能を有するのみならず、分化能においても凍結前と比較して差のないことが明らかとなった。さらに、組織レベルにおいても、移植後に骨と縫合組織の再生が生じることが示された。このことから、MSCsの長期凍結保存とその後の移植が可能であり、さまざまな治療における有用性が明確に実証された。
すべて 2015
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Cryobiology
巻: 70 ページ: 262-268
10.1016/j.cryobiol. 2015.04.001