研究課題/領域番号 |
25463181
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
堀内 信也 徳島大学, 大学病院, 講師 (70263861)
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研究分担者 |
木内 奈央 徳島大学, 大学病院, 助教 (30457329)
田中 栄二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40273693)
泰江 章博 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80380046)
日浅 雅博 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90511337)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯質強化 / フッ素 / 矯正歯科用接着剤 / グラスアイオノマー |
研究概要 |
齲蝕予防効果を有する矯正歯科用接着剤として、フッ素を取り込み、且つ徐放する性質を有するグラスアイオノマー系の接着剤が注目されている。このグラスアイオノマー系接着剤のグラスアイオノマー相はガラスを含有しているため、アルミやケイ素といった元素を組成中に有するフッ素化合物を用いてフッ素を供給した場合、フッ素とグラスアイオノマーの持つう蝕予防効果が相乗的に高まることが予想される。 本研究ではグラスアイオノマーのフッ素取り込みと徐放能を強化し、口腔内へのフッ素供給を促進するためのフッ素化合物を検索することを目的とし、本年度は、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムがグラスアイオノマー相に与える影響を検討し、以下の結果を得た。 グラスアイオノマー系接着剤にて作成したペレットを用いて溶出物試験を行ったところ、フッ化物への断続的な浸漬により、フッ素の徐放と、取り込みが確認された。また、その、取り込み量と徐放量は、フッ化ナトリウムへの浸漬を行った場合より、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムへと浸漬を行った方が大きかった。また、フッ素以外のガラス組成の溶出も確認された。更に、走査型電子顕微鏡による組織検索においては、ケイ酸塩への長時間の浸漬によりグラスアイオノマー相の溶解が確認されたが、ケイ酸塩のpHの調整により影響を減じることが可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
溶出試験の結果より、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムへの浸漬にて、グラスアイオノマー系接着剤のグラスアイオノマー相が影響を受け、pH調整を行うことによりその影響を減ずることができることがわかったものの、中性のフッ化ナトリウム水溶液への浸漬においても、ガラスが溶出している可能性が考えられた。このため、フッ化物の供給条件を更に詳細に検討する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究方策に則りフッ化物がリン酸カルシウムに与える影響の検討を行う。すなわち ①フッ化物が一次的にリン酸カルシウムに与える影響の検討 結晶性の低いハイドロキシアパタイト粉末を湿式法にて合成し、任意の時間フッ化ケイ素水溶液にてアパタイト粉末を処理する。処理したアパタイト粉末は粉末X線回折法にて結晶性の検討を行う。更に、塩酸にて粉末を全量溶解し、ICP発光分析にて組成を検討する。また、フッ素電極法にてフッ素イオンの測定を行う。以上の検討より、フッ化物がリン酸カルシウムに直接与える影響(一次的影響)を検討する。 ②フッ化物が二次的にリン酸カルシウムに与える影響の検討 フッ化物にて2分間処理したグラスアイオノマーペレットとアパタイト粉とを水中で一定時間同時に浸漬する。浸漬後の粉末を濾過回収し、粉末X線回折を行い結晶性の変化の検討を行う。更に、塩酸にて粉末を全量溶解し、ICP発光分析とフッ素電極にて溶解後の水溶液のイオン濃度を測定する。以上の検討より、グラスアイオノマーに取り込まれたフッ素がリン酸カルシウムに与える影響を検討する。また、昨年の研究を継承しフッ化物がグラスアイオノマー相に与える影響についても再度検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画開始当初、外注検査を予定していたサンプル測定が見込額よりも安価に、学内で行えることとなり、当初見込みとの差額が生じたため。 研究遂行により、中性のフッ化ナトリウム水溶液への浸漬においても、グラスアイオノマー相が影響を受けている可能性が考えられることがわかったため、フッ化物の供給条件を計画時点よりも、詳細に検討する必要が生じている。しかし、計画開始当初、外注検査を予定していたサンプル測定が見込額よりも安価に、学内での測定が可能となったため、当初予定した以上の試験を行うことが可能となっており、次年度使用額はその実験のための消耗品購入に使用する予定である。
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